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帰化の生計要件|収入・資産はいくら必要?世帯全体で判断

はじめに

帰化申請の条件のひとつに**「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」**(国籍法第5条第1項第4号)があります。

この条件は、申請者本人だけでなく世帯全体で判断されるのが特徴です。本記事では、生計要件の具体的な判断基準と、状況別の注意点を解説いたします。

生計要件の基本

法律上の規定

国籍法第5条第1項第4号の条文は以下のとおりです。

「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」

この条文から読み取れるポイントは3つあります。

ポイント内容
世帯単位の判断申請者本人だけでなく、配偶者や同居親族の収入・資産も含めて判断
資産または技能現在の収入だけでなく、預貯金・不動産等の資産も考慮される
生計を営むことができる現時点で安定的に生活できる見通しがあるかどうか

簡易帰化(第8条)の場合

日本国民の子(養子を含む)や、日本で生まれ出生時から無国籍の方など、国籍法第8条に該当する場合は生計要件が免除されます。

収入の目安

会社員・公務員の場合

具体的な金額基準は公表されていませんが、実務上の目安は以下のとおりです。

世帯構成月収の目安(手取り)
単身約18万円以上
夫婦2人約22万円以上
夫婦+子1人約25万円以上
夫婦+子2人約28万円以上

ポイント: これらはあくまで目安です。居住地域(東京と地方では生活費が異なる)、住居形態(持ち家か賃貸か)、その他の事情により個別に判断されます。

判断のポイント

  • 安定性が重視されます。高収入であっても、転職を頻繁に繰り返している場合は不安定と見なされることがあります
  • 継続性も重要です。直近の数ヶ月だけ収入が高くても、長期的に安定しているかが問われます
  • 生活保護を受けている場合は、原則として生計要件を充足しません

世帯全体で判断される具体例

例1:専業主婦(夫)が申請する場合

申請者本人に収入がなくても、配偶者の収入で世帯の生計が成り立っていれば要件を充足します。

  • 配偶者(日本人)の年収500万円、申請者は専業主婦 → 要件充足
  • ただし、配偶者の在職証明書、給与明細、源泉徴収票等の提出が必要

例2:学生が申請する場合(第8条該当)

日本国民の子である学生は、第8条により生計要件が免除されるため、本人に収入がなくても問題ありません。

例3:年金生活の方が申請する場合

年金収入と預貯金で安定した生活が営めていれば、要件を充足します。年金額だけでは不十分な場合、預貯金や不動産等の資産で補完できます。

自営業者・会社経営者の注意点

自営業者や会社経営者の場合、会社員とは異なる審査のポイントがあります。

確認される書類

書類確認内容
確定申告書(直近3年分)事業の収益性、安定性
決算書・損益計算書法人の場合の経営状況
事業税の納税証明書事業規模と納税状況
法人税の納税証明書法人経営者の場合
銀行口座の残高証明書事業資金と個人資産の状況

特に注意すべきポイント

  • 赤字決算が続いている場合 — 生計を営む能力に疑問を持たれます
  • 個人の生活費と事業費の混同 — 経費の計上が不適切と判断されるリスク
  • 売上の急激な変動 — 安定性の観点から不利に評価される可能性
  • 借入金が過大な場合 — 返済能力の観点から慎重に審査される

ポイント: 自営業者は会社員に比べて提出書類が多く、審査も厳しくなる傾向があります。申請前の2〜3年間は、安定した事業運営を心がけてください。

資産による補完

収入が目安に達しない場合でも、以下の資産で補完できる場合があります。

  • 預貯金 — 当面の生活を維持できる残高があること
  • 不動産 — 持ち家がある場合(住宅ローンの残高も考慮)
  • 有価証券等 — 株式、投資信託等の金融資産

ただし、資産だけで収入がない(無職)という状態は、長期的な生計の安定性の観点から不利に評価されます。

生計要件に不安がある場合の対策

  1. 世帯全体の収入・資産を洗い出す — 配偶者、同居親族を含めた家計の全体像を把握
  2. 安定した就労実績を作る — 同じ職場での継続勤務が有利
  3. 借入金を整理する — 可能な範囲で返済を進める
  4. 自営業の方は3年分の黒字決算を — 安定した事業運営の実績を作る
  5. 法務局の事前相談で確認 — 個別の事情について見通しを確認

当事務所のサポート

帰化申請に関するご相談は、金子英隆行政書士事務所にお任せください。

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