企業内転勤の「1年以上の継続勤務」要件と資本関係|海外子会社・関連会社の範囲
はじめに
企業内転勤ビザが不許可となる典型的な原因は、「直前1年以上の継続勤務」と「事業所間の資本関係」の立証不足です。この2つは企業内転勤に特有の核心要件であり、ここを正しく押さえることが許可への近道です。
本記事では、この2大要件を掘り下げて解説します。
本記事は入管法別表第一の二の表、上陸基準省令(企業内転勤の項)、出入国在留管理庁の公開情報に基づいて作成しています。
要件1:転勤直前の「1年以上の継続勤務」
上陸基準省令では、企業内転勤について次の趣旨の要件が定められています。
申請に係る転勤の直前に、外国にある本店、支店その他の事業所において、継続して1年以上、技術・人文知識・国際業務に該当する業務に従事していること
ここで重要なポイントを整理します。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 「直前」とは | 転勤の直前であること。過去に1年勤めても、その後別の会社に移っていれば原則対象外 |
| 「継続して1年以上」とは | 同一企業グループ内で、途切れずに1年以上勤務していること |
| 「技人国に該当する業務」とは | 単純労働ではなく、技術職・人文知識・国際業務に相当するホワイトカラー業務 |
たとえば、海外子会社に入社して半年の社員を企業内転勤で呼ぶことはできません。また、勤務はしていても業務が単純作業中心の場合は「技人国相当の業務」と認められないことがあります。
立証に使う主な書類
- 在職証明書(勤務期間が明記されたもの)
- 職務内容・地位・報酬を記載した文書
- 給与明細や雇用契約書
要件2:日本と外国の事業所の「資本関係」
企業内転勤は「同一の機関」内の異動であることが前提です。日本の事業所と外国の事業所が、次のいずれかの関係にある必要があります。
| 関係 | 例 |
|---|---|
| 同一法人 | 日本に支店を持つ外国法人の本店から、その日本支店への異動 |
| 親会社・子会社 | 外国の親会社から日本の子会社への出向、またはその逆 |
| 関連会社・関係会社 | 資本関係でつながったグループ会社間の出向 |
資本関係が薄い場合の注意
業務提携先や、資本関係のない取引先からの「転勤」は企業内転勤に該当しません。また、資本関係があっても出資比率が低い場合や、関係が間接的な場合は、追加の立証を求められることがあります。グループの組織図と各社の登記事項証明書で、資本のつながりを明確に示すことが重要です。
注意:資本関係の判断は事案により異なり、地方出入国在留管理局の審査で個別に確認されます。複雑なグループ構造の場合は、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
立証に使う主な書類
- 日本・外国それぞれの登記事項証明書(または相当する公的書類)
- グループの組織図・資本関係図
- 出資関係を示す資料(株主名簿、出資証明など)
報酬要件も忘れずに
上記2要件に加えて、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」の報酬要件も満たす必要があります。海外水準の給与のまま転勤させると、報酬要件を下回り不許可となるおそれがあります。日本での生活費を踏まえた報酬設定が必要です。
よくある質問
Q. 海外子会社で10か月しか働いていませんが、申請できますか? A. 直前1年以上の継続勤務が要件のため、原則として申請できません。1年に達してからの申請を検討します。
Q. 資本関係のない業務委託先からの転勤は可能ですか? A. 企業内転勤の対象外です。技人国など別の在留資格を検討します。
Q. 親会社が外国、孫会社が日本という構造でも対象になりますか? A. 資本のつながりを立証できれば対象となり得ますが、間接的な関係は個別審査となります。組織図で明確に示すことが重要です。
当事務所のサポート
「1年以上の継続勤務」と「資本関係」の立証は、企業内転勤の成否を分ける最重要ポイントです。金子英隆行政書士事務所では、複雑なグループ構造の整理から海外書類の準備まで、的確にサポートいたします。
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