在留資格の申請が不許可になったら|理由の確認と再申請の組み立て方
在留資格の申請が不許可になったら|理由の確認と再申請の組み立て方
在留資格の変更・在留期間の更新・在留資格認定証明書の交付申請が不許可(不交付)になると、多くの方が「何がいけなかったのか分からないまま、時間だけが過ぎていく」という状態に置かれます。本記事では、不許可の通知を受け取ってからまず何をするか、理由をどう確認するか、類型ごとに再申請で何を変えるべきか、そして在留期限との関係を整理いたします。
参照元: 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(平成20年3月策定・最終改正令和8年6月)/同「在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について」/同「特例期間とは?」/同「在留申請時のお知らせ及び注意」/同「出入国審査・在留審査Q&A」/同「地方出入国在留管理官署が保有する個人情報の開示請求について」/e-Gov法令検索(出入国管理及び難民認定法、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法)
まず「同じ内容で出し直す」のをやめる
不許可の連絡を受けた直後にいちばん多いのが、慌てて同じ書類をそろえ直し、すぐに再申請してしまうという行動です。しかしこれは、ほとんどの場合うまくいきません。
入管法第20条第3項は、在留資格の変更について「当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」と定めています。在留期間の更新も同じ構造です(入管法第21条第3項)。つまり審査は、申請人が出した資料の範囲で行われます。前回と同じ資料を出せば、前回と同じ材料で判断されることになります。
しかも二度目の申請では、入管は前回の申請内容と今回の内容を突き合わせて見ます。前回と説明が変わっていれば、なぜ変わったのかが新たな論点になります。だからこそ、動く前に「何が足りなかったのか」を確定させる必要があります。
不許可の理由をどう確認するか
通知書に理由が詳しく書かれるとは限らない
不許可の通知に理由がほとんど書かれていないことに驚かれる方は多いのですが、これは担当者の不親切ではなく、法律の建て付けによるものです。
行政手続法第3条第1項第10号は、「外国人の出入国……に関する処分及び行政指導」について、同法第2章から第4章の2までの規定を適用しないと定めています。申請に対する処分について理由を示すことを求める規定(同法第8条)も、この第2章に置かれています。
したがって、書面から理由を読み取ろうとしても限界があります。理由を知るには、別の方法を取る必要があります。
地方出入国在留管理局で説明を求める
実務上は、申請先の地方出入国在留管理局に出向いて、不許可の理由について説明を求めることになります。ただし、この手続の正式な名称、予約が必要かどうか、申請人ご本人の同行が必要かどうかについては、出入国在留管理庁のウェブサイト上で公表された案内を確認することができませんでした。
在留諸申請の手続は本人出頭が原則とされ、その例外として弁護士・行政書士や受入れ機関の職員による申請等取次制度が定められていますが、公表されている取次ぎの範囲は申請書の提出や在留カードの受領などであり、不許可理由の説明を受けることが含まれるかどうかは明示されていません。また、東京・横浜支局・名古屋・大阪・福岡の5官署では令和7年(2025年)3月1日から申請等取次者向けの「交付等予約システム」が運用されていますが、これは結果の交付(受取)等に関する予約の仕組みです。
運用は局によって異なる可能性があります。必ず申請先の地方出入国在留管理局にご確認ください。
公表された手続として利用できるもの
理由そのものの説明とは別に、出入国在留管理庁のウェブサイトで手続が公表されているものとして、保有個人情報の開示請求があります。過去に地方出入国在留管理官署で手続を行った際の提出資料など、ご自身の個人情報について開示を請求できる制度で、請求できるのはご本人、法定代理人、任意代理人に限られ、手数料は1件当たり300円分の収入印紙です。窓口でも郵送でも請求できます。何をいつ提出したかが手元で分からなくなっている場合には、事実関係を確定させる手段になります。
説明を聞くときの実務
説明の機会は、事実上一度しかないものとして臨むのが安全です。準備なく行くと、「資料が足りませんでした」という一般的な言葉だけを持ち帰ることになりかねません。
| 聞き取るべきこと | 具体的な質問の形 |
|---|---|
| 判断の中心になった事項 | 該当性なのか、基準適合性なのか、相当性(在留状況)なのか |
| 足りないとされた立証 | どの事実について、どの資料で足りないと判断されたのか |
| 資料の不整合 | 提出資料の間で食い違いがあると見られた箇所はどこか |
| 事情が変われば変わるか | 事情の変更によって判断が変わり得る性質のものか |
| 再申請の可否 | 現時点で再申請することについて、何か注意すべき点はあるか |
説明はその場で書き留め、帰ってからではなく当日のうちに、聞いた言葉のまま記録に残してください。要約すると論点がずれます。録音の可否を含め、その場でのやり取りの取り扱いは局の指示に従ってください。
審査で見られている事項を確認する
再申請の設計は、入管が公表している判断の枠組みに戻って考えるのが近道です。出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(最終改正令和8年〈2026年〉6月)は、次の8項目を考慮するとしています。
| # | 考慮事項 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 1 | 行おうとする活動が在留資格に該当すること | 許可に必要な要件 |
| 2 | 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること | 原則として適合が必要 |
| 3 | 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと | 代表的な考慮要素 |
| 4 | 素行が不良でないこと | 代表的な考慮要素 |
| 5 | 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること | 代表的な考慮要素 |
| 6 | 雇用・労働条件が適正であること | 代表的な考慮要素 |
| 7 | 納税義務等を履行していること | 代表的な考慮要素 |
| 8 | 入管法に定める届出等の義務を履行していること | 代表的な考慮要素 |
同ガイドラインは、3以下の事項について「これらの事項にすべて該当する場合であっても、すべての事情を総合的に考慮した結果、変更又は更新を許可しないこともあります」と明記しています。チェックリストを埋めれば許可される、という構造ではありません。
不許可の類型と、再申請で何を変えるか
不許可の原因は、おおむね次の類型に整理できます。共通するのは、同じ書類を足すだけでは通らないということです。足りないのは書類の枚数ではなく、事実の立証だからです。
| 類型 | 起きていること | 再申請で新たに立証すべきこと |
|---|---|---|
| 学歴・職歴と職務内容の関連性が認められない | 専攻・実務経験と、実際に従事する業務のつながりが読み取れない | 業務を具体的な作業単位まで分解し、どの科目・どの実務経験がどの作業に対応するかを対応づける。担当予定の案件、使用する知識、指導体制まで示す |
| 事業の安定性・継続性の疎明が足りない | 決算が赤字である、あるいは新設で実績がない | 数字の説明を加える。赤字の原因が一時的な費用なのか構造的なものか、今後どう回復するのかを、契約書・受注実績・資金の裏づけとともに示す |
| 報酬が日本人と同等額以上でない | 同種の業務に従事する日本人の報酬との比較ができていない | 賃金規程・給与テーブル・同職種の在職者の水準など、社内の基準そのものを提示する。金額だけを引き上げても、根拠がなければ説明にならない |
| 提出資料の記載が申請書と食い違っている | 雇用契約書・登記事項証明書・決算書と申請書の記載が一致していない | まず全資料を突き合わせて相違点を洗い出す。事実が変わったのであれば、変わった経緯と時期を説明する文書を添える。黙って直すのが最も危険 |
| 素行・公租公課の未納 | 交通違反・刑事処分、税や社会保険料の未納・長期滞納 | 完納の証明と、そこに至った経緯・再発防止の説明。納付は「した」だけでなく「いつ、どこまで」を証明書で示す |
| 婚姻の信ぴょう性 | 婚姻の実体を示す事実が積み上がっていない | 交際から現在までの経過を時系列で整理し、同居・生計・交流を裏づける客観的資料でつなぐ。写真の枚数ではなく、生活の連続性を示す |
類型ごとの詳しい論点は、それぞれの記事にまとめています。就労系の落とし穴は技人国ビザの不許可事例と対策、報酬の考え方は技人国の報酬要件|「日本人と同等以上」の判断基準、婚姻の実体の立証は偽装結婚を疑われないためにをご覧ください。永住が不許可になった場合の考え方は永住申請が不許可になったら、帰化の不許可については帰化申請が不許可になる5つの理由と対策で扱っています。
在留期限との関係
不許可の後にいちばん急ぐのは、実は理由の分析ではなく、在留の資格が切れないようにすることです。
特例期間 — 在留カードをお持ちの方が在留期間の満了日までに更新・変更を申請した場合、処分がされる時か、従前の在留期間の満了の日から2か月が経過する日のいずれか早い時までは、引き続き従前の在留資格で在留し、従前の活動を行うことができます(入管法第20条第6項、第21条第4項による準用)。ただし、在留期間が30日以下と決定されている方には適用されません。出入国在留管理庁も「結果をもらわないまま在留期限から2か月を過ぎると、日本にいることができなくなります」と案内しています。
出国準備の在留資格 — 更新・変更が不許可となった方について、出国のための準備期間として「特定活動(出国準備期間)」の在留資格が与えられる取扱いがあります。この在留資格が存在することは出入国在留管理庁のオンライン手続Q&A(オンライン申請の対象外として挙げられています)でも確認できますが、**与えられる期間や条件は事案により異なります。**在留期間や、その期間中に就労できるかどうかは指定される内容によって変わりますので、必ず地方出入国在留管理局にご確認ください。
在留期限が過ぎている場合 — 出入国在留管理庁のQ&Aでは、災害、疾病、事故等ご本人に責のない事情のために在留期間を経過した場合には、在留期限の経過のみを理由として退去強制手続を執ることなく申請を受理することとしており、申請できる状態になった後、速やかに最寄りの地方出入国在留管理局等に相談するよう案内されています。事情の評価は個別に行われますので、自己判断で放置することだけは避けてください。
再申請はいつ出すか
「早いほうがよい」とは限りません。判断の分かれ目は、不許可の原因が書類で埋められるものか、事情の変化を待つ必要があるものかです。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 立証不足・資料の不整合が原因 | 資料が整い次第、早期に再申請する。在留期限が迫っていればなおさら時間の余裕がない |
| 事業の実績が足りない | 直近の決算や受注実績が出るのを待つほうが説得力が増す場合がある |
| 未納・違反が原因 | 完納・処分の完了を先に済ませる。未解決のまま出すと同じ判断になりやすい |
| 職務内容そのものが在留資格に当たらない | 職務内容の設計や配属を見直さない限り、資料を足しても結論は変わらない |
在留期限との関係で待てる時間は限られます。何をどこまで整えたら出すのかを、最初に決めてから動くことをおすすめします。
不服申立て・訴訟という選択肢について
制度としては、行政上の争い方も存在します。ただし、位置づけを正確に理解しておく必要があります。
行政不服審査法第7条第1項第10号は、「外国人の出入国又は帰化に関する処分」について、審査請求に関する同法第2条及び第3条の規定を適用しないと定めています。つまり、在留資格の不許可について同法に基づく審査請求をすることはできません。
そのため、処分そのものを争う場合は、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟(同法第3条第2項)によることになります。出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年です(同法第14条第1項・第2項。いずれも正当な理由があるときを除きます)。なお、難民の認定に関する処分については入管法上の別の仕組みが設けられており、ここでの説明とは異なります。
**訴訟の代理は弁護士の業務であり、当事務所では取り扱っておりません。**行政書士として申し上げられるのは、実務上は多くの事案で、訴訟よりも論点を整理し直した再申請のほうが現実的な選択肢になる、ということです。訴訟を検討されるべき事案かどうかの見極めを含め、弁護士へのご相談が適切な場合には、その旨をお伝えいたします。
専門家に相談する意味
一度不許可になった案件は、まっさらな新規申請とは性質が違います。入管は前回の申請内容を保有しており、二度目の申請ではそれと突き合わせて審査します。前回の説明と今回の説明の間に説明のつかない差があれば、そこ自体が新しい不利な事情になります。
ですから、二度目に必要なのは「もっと多くの書類」ではなく、論点の特定と、立証の組み直しです。具体的には、次の3つを一貫させることです。
- 不許可の原因として指摘された事項を、事実のレベルで特定する
- その事実を裏づける資料を、実在するものだけで組み立てる
- 前回の申請との差異を、こちらから説明する
なお、審査の途中で追加資料を求められること(追完)は不許可の予告ではありません。むしろ不許可になる前に説明する機会を与えられている状態ですので、期限内に丁寧に回答することが大切です。ここで沈黙したり期限を過ぎたりすると、手元の資料だけで判断されてしまいます。
まとめ
- 不許可の直後に同じ内容で出し直さない。審査は提出された文書の範囲で行われます(入管法第20条第3項)。
- 通知書に理由が詳しく書かれないのは法律の建て付けによるもの(行政手続法第3条第1項第10号)。理由の確認は申請先の地方出入国在留管理局へ。手続の名称・予約の要否・本人同行の要否はgo.jpで確認できなかったため、必ず申請先の局にご確認ください。
- 説明の機会は一度きりのつもりで、質問を用意して臨み、その日のうちに記録する。
- 審査の枠組みは公表されている8つの考慮事項。すべて満たしても総合考慮で不許可になり得ます。
- 在留期限が最優先。特例期間は最長で満了日から2か月です(入管法第20条第6項、第21条第4項)。出国準備の「特定活動」の期間・条件は事案により異なります。
- 審査請求はできず(行政不服審査法第7条第1項第10号)、争う場合は取消訴訟。訴訟代理は弁護士の業務です。
当事務所のサポート
在留資格の申請が不許可になった後の理由の整理、再申請の組み立てに関するご相談は、金子英隆行政書士事務所にお任せください。他の事務所やご自身で申請されて不許可になった案件のご相談も承っております。なお、結果をお約束することはできません。事案を拝見したうえで、再申請で何を立証する必要があるかを率直にお伝えいたします。
- 許可率98%の実績
- 対応言語: 日本語・中国語・ベトナム語・英語
- 初回相談無料
- 千葉・東京を中心に全国対応(オンライン相談可)
よくあるご質問
不許可の通知に理由が書かれていません。理由を知ることはできますか。
在留資格に関する処分については、行政手続法第3条第1項第10号により、同法の申請に対する処分の規定(理由の提示を含みます)が適用されません。そのため、通知書に詳しい理由が記載されるとは限りません。実務上は申請先の地方出入国在留管理局で説明を求めることになりますが、手続の名称・予約の要否・申請人本人の同行が必要かどうかについては、出入国在留管理庁のウェブサイト上で公表された案内を確認できませんでした。運用は局によって異なる可能性がありますので、必ず申請先の局にご確認ください。なお、過去に提出した資料などについては、保有個人情報の開示請求という公表された手続もあります。
不許可になったら、すぐに同じ書類で出し直してよいですか。
おすすめできません。入管法第20条第3項は「当該外国人が提出した文書により」変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可できると定めており、審査は提出された資料に基づいて行われます。前回と同じ資料を出せば、前回と同じ材料で判断されることになります。二度目の申請では前回の内容と突き合わせて審査されますので、何が足りなかったのかを確認したうえで、立証の中身を組み直すことが必要です。
更新が不許可になりました。すぐに日本を出なければなりませんか。
事案により異なります。在留カードをお持ちの方が在留期間の満了日までに更新・変更を申請していた場合、処分がされる時か、在留期間の満了の日から2か月が経過する日のいずれか早い時までは従前の在留資格で在留できます(入管法第20条第6項、第21条第4項。在留期間が30日以下の方を除きます)。不許可となった方には出国のための準備期間として「特定活動(出国準備期間)」の在留資格が与えられる取扱いがありますが、期間や条件は事案によって異なりますので、地方出入国在留管理局にご確認ください。
不許可に納得できません。不服を申し立てられますか。
外国人の出入国に関する処分は、行政不服審査法第7条第1項第10号により審査請求の対象から除かれています。争う場合は行政事件訴訟法に基づく取消訴訟となり、処分があったことを知った日から6か月という出訴期間があります(同法第14条第1項)。訴訟の代理は弁護士の業務であり、当事務所では取り扱っておりません。実務上は、多くの事案で訴訟よりも論点を整理した再申請のほうが現実的な選択肢になります。
在留期限を過ぎてしまいました。もう申請できませんか。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、災害、疾病、事故等ご本人に責のない事情のために在留期間を経過した場合、在留期限の経過のみを理由として退去強制手続を執ることなく申請を受理することとしており、申請できる状態になった後、速やかに最寄りの地方出入国在留管理局等に相談するよう案内されています。自己判断で放置せず、まず相談してください。
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