令和8年(2026年)5月29日、在留手続の手数料を引き上げる改正入管法が成立し、同年6月5日に公布されました。在留資格の変更許可・在留期間の更新許可は上限10万円、永住許可は上限30万円となります。ただし、引き上げられたのは法律上の「上限額」であって、実際にお支払いいただく金額ではありません。本記事では、確定していることと、まだ決まっていないことを分けて整理いたします。
【2026年10月1日更新】実額と施行日が決まりました。 本記事は令和8年6月18日時点の情報に基づいて書いたものです。その後、実額を定める政令が施行され、令和8年10月1日以降に受け付けた申請から手数料が改定されました。在留資格の変更・在留期間の更新は、許可される在留期間に応じて窓口1万円〜7万5千円(オンライン1万円〜6万5千円、別途決済手数料)、永住許可は20万円です。本文中で「決まっていない」としていた箇所には、更新後の情報を【2026年10月1日更新】として追記しております。改定後の額の一覧と減額の制度は在留手続の手数料が改定されましたをご覧ください。
参照元: 出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正法について」、同庁「改正法の概要(JESTA(電子渡航認証制度)の創設、在留資格の変更許可等に係る手数料の額の上限額の引上げ等)」、e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法施行令」
改正法の概要
今回の改正は、JESTA(電子渡航認証制度)の創設と、在留許可手数料の上限額の引上げを内容とするものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 成立 | 令和8年(2026年)5月29日/第221回特別国会 |
| 公布 | 令和8年(2026年)6月5日 |
| 法律番号 | 令和8年法律第32号 |
| 主な内容 | JESTA(電子渡航認証制度)の創設/在留資格の変更許可等に係る手数料の額の上限額の引上げ等 |
改正の背景として、同庁の概要資料では、令和7年(2025年)末時点の在留外国人数が過去最高の約413万人を記録したこと、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた施策を確実に実施しつつ更なる強化・拡充を図る必要があることが挙げられています。
引き上げられたのは「上限額」です
ここが今回もっとも誤解されやすい点です。改正前の入管法第67条第1項は、在留資格の変更許可・在留期間の更新許可・永住許可・再入国許可について、一律に「一万円を超えない範囲内において別に政令で定める額」と規定していました。改正後は、許可の区分ごとに次の上限額が定められます。
| 手続 | 改正前の上限額 | 改正後の上限額 |
|---|---|---|
| 在留資格の変更の許可 | 1万円 | 10万円 |
| 在留期間の更新の許可 | 1万円 | 10万円 |
| 永住許可 | 1万円 | 30万円 |
| 再入国の許可(有効期間の延長を含む) | 1万円 | 1万円(据置き) |
「上限が10万円」=「更新が10万円」ではありません。 同庁の概要資料は「物価変動に伴う経費の増大等に応じて手数料の額を機動的に定められるよう具体的な手数料の額は引き続き政令に委任し、在留期間に応じて定める」としています。実額は在留期間に応じて段階的に定められる予定であり、本記事の執筆時点では公表されていません。
【2026年10月1日更新】 実額は在留期間に応じて7段階で定められました(窓口の場合、3月以下1万円〜5年以上7万5千円)。
あわせて、額を定める際に勘案する要素も法律に明記されました(入管法第67条第2項)。実費のほか、外国人の適正な在留の確保に関する事務に要する費用、適法に在留する外国人が安定的かつ円滑に在留できるようにするための支援に関する事務に要する費用など、外国人の出入国及び在留の公正な管理に要する費用の額、そして諸外国における同種の手数料の額を勘案するとされています。額が無限定にならないようにするための歯止めです。
現行の手数料(改正前)
現在の手数料は、出入国管理及び難民認定法施行令第25条第1項で次のとおり定められています。2025年(令和7年)4月1日の改定で、オンライン(電子申請)の場合の額が別に設けられました。
| 手続 | 窓口 | オンライン(電子申請) |
|---|---|---|
| 在留資格の変更の許可 | 6,000円 | 5,500円 |
| 在留期間の更新の許可 | 6,000円 | 5,500円 |
| 永住許可 | 10,000円 | 設定なし |
| 再入国の許可(数次を除く) | 4,000円 | 3,500円 |
| 数次再入国の許可 | 7,000円 | 6,500円 |
| 就労資格証明書の交付 | 2,000円 | 1,600円 |
| 在留カードの交付 | 1,900円 | 設定なし |
オンライン申請のほうが500円安く設定されています。オンライン申請の利用条件や手順は技人国ビザのオンライン申請で解説しております。
いつから変わるのか
改正法の附則第1条第2号は、入管法第67条の改正規定について「令和9年3月31日までの間において政令で定める日」から施行すると定めています。西暦では2027年3月31日までのいずれかの日ということになります。
| 改正部分 | 施行期日 |
|---|---|
| 在留許可手数料に関する改正規定 | 令和9年(2027年)3月31日までの間において政令で定める日 |
| JESTA(電子渡航認証制度)の創設に関する改正規定 | 令和11年(2029年)3月31日までの間において政令で定める日 |
施行日はまだ決まっておりません。 「◯年◯月から値上げ」と日付を断定している情報を見かけましたら、出入国在留管理庁の公表内容をご確認ください。実額を定める政令と施行日の政令は、今後あらためて公布される予定です。
【2026年10月1日更新】 施行日は令和8年(2026年)10月1日と定められました。
基準になるのは「申請の日」です
改正法の附則第5条は、施行日前にされた申請に対する在留資格の変更・在留期間の更新・永住・再入国の許可について、手数料の納付は「なお従前の例による」と定めています。つまり、許可の日ではなく申請の日が基準です。施行日より前に申請を受け付けてもらえていれば、許可が施行日以降になっても改正前の手数料で足ります。
2025年4月1日の手数料改定でも同じ考え方が採られ、2025年3月31日までに受付された申請は、許可が4月以降になっても改定前の額とされました。今回も同じ構造です。
誰に影響するのか
- 更新・変更を予定している方:現在の在留期間の満了時期によっては、次回の更新から新しい額になる可能性があります。更新実務の注意点は技人国ビザの更新で不許可にならないためのチェックリストをご覧ください。
- 永住を検討している方:永住許可だけ上限が30万円と、変更・更新の3倍に設定されています。永住許可申請ガイドで要件をご確認のうえ、申請時期をご検討ください。永住と帰化のどちらを選ぶかの判断材料にもなり得ます。
- ご家族と同時に手続きされる方:家族滞在などで世帯の人数分お支払いになる場合、影響が人数倍になります。
- 企業が費用を負担している場合:受入れ機関が更新費用を負担している実務は珍しくありません。人数が多い企業ほど影響が大きくなります。受入れコストの全体像は特定技能の費用と報酬もご参照ください。
減額・免除の制度が設けられます
上限額の引上げにあわせて、改正後の入管法第67条第3項に減額・免除の規定が置かれました。経済的困難その他特別の理由により手数料を減額し、又は免除することが相当である者として政令で定める者については、手数料を減額し、又は免除することができるとされています。
なお、永住許可を受ける方でこの対象となり得るのは、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子等に限られます。具体的にどのような方が対象になるかは、政令で定められる予定です。
【2026年10月1日更新】 減額の対象者は改正後の入管法施行令第25条第2項に定められ、減額後の額は在留資格の変更・在留期間の更新が1万円、永住許可が2万円とされました。減額の申出は窓口申請に限られます。詳しくは在留手続の手数料が改定されましたをご覧ください。
実務でどう備えるか
- 在留期限を確認する。 在留期間の更新許可申請は、6か月以上の在留期間をお持ちの方の場合、在留期間の満了する概ね3か月前から受け付けられます。前倒しできる範囲は限られますので、まずご自身の満了日をご確認ください。
- オンライン申請を検討する。 現行制度では窓口より500円安く設定されています。改正後の実額でも申請方法による差が設けられるかは政令次第ですが、オンライン申請に慣れておくことに損はありません。
- 費用の見積もりに織り込む。 企業のご担当者は、来期以降の在留手続の予算を組む際、実額が未定である点を前提に幅を持たせておくと安全です。
- 社内の負担ルールを確認する。 雇用契約書や就業規則で更新費用の負担者をどう定めているかを、実額が公表される前に整理しておくことをおすすめいたします。
- 公式発表を情報源にする。 実額・施行日ともに政令で定められます。出入国在留管理庁の公表を確認してから動いてください。
【2026年10月1日更新】 実額の公表により、オンライン申請は窓口より安い額に設定されました(在留期間「5年」の場合、窓口75,000円に対しオンライン65,000円+決済手数料550円)。また、10月1日以降のオンライン申請の手数料は、収入印紙ではなくコンビニ決済又は銀行決済で納めます。→ オンライン申請の手数料がコンビニ・銀行決済に
まとめ
今回の改正で確定しているのは、入管法上の上限額が在留資格変更10万円・在留期間更新10万円・永住許可30万円になったこと、施行日が令和9年(2027年)3月31日までの間の政令で定める日とされたこと、そして施行日前の申請には従前の手数料が適用されることの3点です。実際にお支払いいただく額はこれから政令で定められます。現時点で慌てて判断する必要はございませんが、更新時期と費用の負担ルールだけは早めにご確認いただくとよいでしょう。
【2026年10月1日更新】 その後、施行日は令和8年10月1日と定められ、実額も確定しました。変更・更新は許可される在留期間に応じて窓口1万円〜7万5千円、永住許可は20万円です。最新の情報は在留手続の手数料が改定されましたでご確認ください。
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