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短期滞在から他の在留資格への変更|「やむを得ない特別の事情」とは

短期滞在から他の在留資格への変更|「やむを得ない特別の事情」とは

「観光で来日したところ就職先が決まった」「短期滞在で来日中に日本人と結婚した」。このようなご相談を受けることがございます。しかし短期滞在からの在留資格変更は、入管法上、原則として認められません。本記事では、その根拠となる条文と、では何をすればよいのかという正しい手順を、条文の文言に沿って解説いたします。

参照元: e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」「出入国管理及び難民認定法施行規則」、出入国在留管理庁「在留資格『短期滞在』」「在留資格変更許可申請」「在留資格認定証明書交付申請」「出入国審査・在留審査Q&A」

在留資格「短期滞在」とは

短期滞在は、入管法別表第一の三の表に掲げられた在留資格です。条文は、行うことができる活動を次のように定めています。

本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動

在留期間は、出入国管理及び難民認定法施行規則の別表第二により「九十日若しくは三十日又は十五日以内の日を単位とする期間」と定められています。制度全体の位置づけについては在留資格とは?基本を押さえようもあわせてご覧ください。

短期滞在は、他の在留資格と比べて次のような特徴があります。

項目短期滞在の取扱い根拠
就労(報酬を受ける活動)できない入管法第19条第1項第2号
在留カードの交付交付されない入管法第19条の3
在留資格認定証明書の交付申請対象外入管法第7条の2第1項
他の在留資格への変更原則として認められない入管法第20条第3項ただし書
在留期間90日、30日、または15日以内施行規則別表第二

短期滞在では報酬を受ける活動ができない

入管法第19条第1項は、別表第一の在留資格で在留する方の活動範囲を制限しています。同項第2号は、短期滞在を含む別表第一の三の表・四の表の在留資格について、次のように定めています。

別表第一の三の表及び四の表の上欄の在留資格をもつて在留する者 収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動

これらを「行つてはならない」というのが第19条第1項の柱書です。つまり短期滞在では、アルバイトも、日本の会社から報酬を受けて働くこともできません。

原則:短期滞在からの在留資格変更は認められない

在留資格の変更は入管法第20条が定めています。重要なのは同条第3項です。

前項の申請があつた場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。ただし、短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。

前段は、在留資格の変更一般について「相当の理由があるときに限り」許可できるとするものです。そして後段のただし書が、短期滞在の方についてだけ、さらに厳しい条件を上乗せしています。これが、短期滞在からの変更が原則として通らない直接の根拠です。

出入国在留管理庁のQ&Aも、同じ趣旨を明確に述べています。

入管法では、「短期滞在」からの在留資格変更については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとされていますので、原則として認められません。日本に中長期間在留することを希望する場合は、地方出入国在留管理局等に対して在留資格認定証明書交付申請(在留資格認定証明書交付申請の対象外である場合は在外公館での査証申請)を行ってください。

「やむを得ない特別の事情」とは

では、どのような場合が「やむを得ない特別の事情」に当たるのでしょうか。

在留資格変更について、その具体例を列挙した公表資料は、出入国在留管理庁の公開情報の中には見当たりませんでした。 実務書やインターネット上には様々な例が流通しておりますが、当事務所では公的な根拠のない例をお示しすることはいたしません。個別の事情に応じて判断されるものとご理解ください。

一方で、同庁のQ&Aは、該当しない場合をひとつだけはっきり示しています。

(注)単に本邦に在留中に在留資格認定証明書が交付されたことをもって、やむを得ない特別の事情に該当するものではありません。

これは実務上きわめて重要な注意書きです。「日本にいる間に認定証明書が出たのだから、そのまま変更できるはずだ」という考え方は、明確に否定されています。認定証明書の交付と、短期滞在からの変更の可否は別の問題です。

なお、短期滞在の在留期間更新については、同庁は「原則として、人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に認められるもの」と説明し、病気治療を例として挙げています。ただしこれは在留期間更新の話であり、在留資格変更のただし書とは条文も場面も異なります。混同なさらないようご注意ください。

正しい手順は「海外にいるうちに認定証明書を取る」

中長期の在留を希望される場合の原則的な流れは、次のとおりです。

  1. 日本の受入れ機関(勤務先や配偶者など)が代理人として、地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行う
  2. 交付された認定証明書を、海外にいる本人へ送付する
  3. 本人が居住国の日本大使館・総領事館で査証(ビザ)を申請する
  4. 査証の発給を受けて来日し、上陸許可を受ける

在留資格認定証明書の交付申請は、入管法第7条の2第1項に基づく手続きです。同項の括弧書きは、対象者から「本邦において別表第一の三の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとする者」を除いています。出入国在留管理庁の手続案内も、対象者を「日本に入国を希望する外国人(短期滞在を目的とする者を除きます。)」としています。短期滞在そのものには、認定証明書という制度が用意されていないのです。

なお、この認定証明書の交付申請に手数料はかかりません。海外から人材を招へいする場合の実務は海外から外国人材を招聘する方法|技人国ビザの認定申請ガイド、配偶者の呼び寄せは海外の配偶者を日本に呼ぶ方法|在留資格認定証明書(COE)の申請ガイドで詳しく解説しております。

よくある誤解

よくあるお考え実際の取扱い
観光で来日し、就職先を見つけてから変更すればよい短期滞在では報酬を受ける活動ができず(第19条第1項第2号)、変更も原則不許可(第20条第3項ただし書)
短期滞在中に結婚したので、そのまま配偶者の在留資格に変更できる婚姻の事実だけで「やむを得ない特別の事情」が認められるとは限りません。原則は認定証明書を取り直す流れです
認定証明書が交付されたのだから変更できる同庁Q&Aが「単に……交付されたことをもって、やむを得ない特別の事情に該当するものではありません」と明記
短期滞在にも在留カードが出る出ません(第19条の3)。中長期在留者から除かれています
短期滞在でも再入国許可を取れば出入りできる同庁Q&Aは「原則として『短期滞在』の在留資格の方に再入国許可を許可することはありません」とし、みなし再入国許可の対象にもならないとしています

短期滞在の在留期間更新の考え方

短期滞在の在留期間更新は、入管法第21条に基づく手続きです。出入国在留管理庁は、この更新について「外国人の方が、人道上の真にやむをえない事情等により、『短期滞在』の在留資格に係る活動を引き続き希望する場合」の手続きと位置づけ、必要書類として次のものを挙げています。

  • 在留期間更新許可申請書
  • パスポート
  • 「短期滞在」の在留資格に係る活動を引き続き必要とする理由を明らかにする資料
  • 日本に入国してから現在までの活動を説明する資料
  • 滞在中の経費を支弁できることを証する資料及び出国のための手段又は経費を支弁できることを証する資料

出国のための手段や経費の資料が求められている点に、この制度の考え方が表れています。更新は在留を延ばすための一般的な手段ではなく、事情が解消するまでの例外的な措置として運用されているとご理解ください。

特例期間について:入管法第20条第6項は、申請に対する処分がされないまま在留期間が満了した場合に、処分の時か満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで引き続き在留できると定めています(第21条第4項で在留期間更新にも準用)。ただし、この規定は「三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合」を除いており、30日や15日の短期滞在には適用されません。

日本人と結婚した場合の実務

短期滞在で来日中に日本人と婚姻した場合も、原則の考え方は変わりません。日本での婚姻届が受理されたという事実は、身分関係の成立を意味しますが、それだけで在留資格変更の「やむを得ない特別の事情」が認められることを、出入国在留管理庁は公表しておりません。例外的な取扱いを示す公的資料は確認できませんでした。

したがって原則としては、いったん帰国し、日本人配偶者が代理人として在留資格認定証明書の交付申請を行い、査証を取得して入国する流れになります。在留資格「日本人の配偶者等」の要件と対象者は日本人の配偶者等(配偶者ビザ)完全ガイドを、審査で見られる婚姻の実体については偽装結婚を疑われないためにをご参照ください。

短期滞在の在留期間は最長でも90日です。婚姻の手続き、本国での書類収集、認定証明書の準備をこの期間内にすべて終えようとすると無理が生じます。来日前から準備を始めるのが、結局は最短の道になります。

まとめ

  • 短期滞在では、収入を伴う事業の運営や報酬を受ける活動はできません(入管法第19条第1項第2号)
  • 短期滞在からの在留資格変更は、「やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しない」とされています(同法第20条第3項ただし書)
  • その具体例を示した公的資料は確認できず、個別の事情に応じて判断されます
  • 「日本にいる間に認定証明書が交付された」だけでは、特別の事情には当たりません
  • 短期滞在には在留カードが交付されず(第19条の3)、認定証明書の交付申請の対象にもなりません(第7条の2第1項)
  • 中長期の在留を希望される場合は、認定証明書の交付申請と査証取得という原則の手順で進めるのが確実です

当事務所のサポート

短期滞在中のご相談は、時間との勝負になることが少なくありません。滞在期間内に何ができて何ができないのかを整理し、認定証明書の準備を並行して進めることが重要です。在留資格に関するご相談は、金子英隆行政書士事務所にお任せください。

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よくあるご質問

短期滞在から就労の在留資格に変更できますか。

原則として認められません。入管法第20条第3項ただし書は「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする」と定めています。中長期の在留を希望する場合は、在留資格認定証明書の交付申請を行い、いったん出国して査証を取得したうえで入国するのが原則の流れです。

在留資格認定証明書が交付されれば、短期滞在からそのまま変更できますか。

できるとは限りません。出入国在留管理庁のQ&Aは「単に本邦に在留中に在留資格認定証明書が交付されたことをもって、やむを得ない特別の事情に該当するものではありません」と明記しています。

「やむを得ない特別の事情」の具体例は公表されていますか。

在留資格変更についての具体例は、出入国在留管理庁の公開情報では確認できませんでした。個別の事情に応じて判断されますので、事前にご相談ください。なお短期滞在の在留期間更新については、同庁は「人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合」に認められるものとし、病気治療の例を挙げています。

短期滞在では在留カードが交付されないのはなぜですか。

入管法第19条の3が、在留カードの交付対象である「中長期在留者」から「短期滞在の在留資格が決定された者」を除いているためです。同じ理由で、短期滞在は在留資格認定証明書の交付申請の対象外とされています(同法第7条の2第1項)。

短期滞在中にアルバイトをしてもよいですか。

できません。入管法第19条第1項第2号により、短期滞在の在留資格で在留する方は、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができません。

#短期滞在 #在留資格変更 #在留資格認定証明書 #入管法第20条

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