定住者告示とは|該当する類型と、未成年で未婚の実子(告示6号)の難しさ
定住者告示とは|該当する類型と、未成年で未婚の実子(告示6号)の難しさ
在留資格「定住者」は、日系人の方、中国残留邦人等の方、第三国定住難民の方、そして外国にいるお子さんを呼び寄せる場面などで使われる、幅の広い在留資格です。ただしこの在留資格は、誰でも自由に取れるわけではなく、その入口は「定住者告示」という一枚の告示で区切られています。本記事では、定住者告示の類型を号ごとに整理したうえで、実務で最も骨が折れる類型のひとつである「未成年で未婚の実子」(告示6号)を中心に解説いたします。
参照元: 出入国在留管理庁「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号)」/同「在留資格『定住者』」/同「在留資格認定証明書交付申請」/同「『日本人の配偶者等』又は『永住者の配偶者等』から『定住者』への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について」
在留資格「定住者」とは
出入国在留管理庁は、この在留資格に該当する方を次のように説明しています。
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 該当例としては、第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等。 (出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」)
在留期間は、5年、3年、1年、6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)です。就労に制限がないため、生活の安定という点では強い在留資格です。在留資格そのものの基本的な考え方については、在留資格とは?基本を押さえようもあわせてご覧ください。
定住者告示(平成2年法務省告示第132号)
「特別な理由を考慮し」という条文だけでは、どのような方が該当するのか分かりません。そこで入管法第7条第1項第2号に基づき、法務大臣があらかじめ告示で地位を定めています。これが定住者告示です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件 |
| 告示番号 | 平成2年5月24日 法務省告示第132号 |
| 最近の改正 | 令和3年(2021年)10月28日 法務省告示第220号 |
| 根拠 | 入管法第7条第1項第2号 |
号ごとの類型
告示は第1号から第8号までで構成され、第2号は削除されています。原文の要点は次のとおりです。
| 号 | 告示が定める地位(要旨) |
|---|---|
| 第1号 | インド、インドネシア、カンボジアなど告示に列挙された国内に一時滞在している者であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要なものと認め、我が国に対してその保護を推薦するもののうち、イ・ロに該当するもの(第三国定住難民) |
| 第2号 | 削除 |
| 第3号 | 日本人の子として出生した者の実子(第1号又は第8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるもの |
| 第4号 | 日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(第1号、第3号又は第8号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるもの |
| 第5号 | 「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したものの配偶者、及び第3号・第4号等の地位により許可を受け1年以上の在留期間を指定されている定住者の配偶者(イ・ロ・ハ) |
| 第6号 | 日本人、永住者、特別永住者、定住者などの扶養を受けて生活する、その未成年で未婚の実子(イ・ロ・ハ・ニ) |
| 第7号 | 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、1年以上の在留期間を指定されている定住者、特別永住者の扶養を受けて生活する、これらの者の6歳未満の養子 |
| 第8号 | 中国残留邦人等(イからホまで) |
出入国在留管理庁は、必要書類の案内を「日系3世である場合」「日系2世の配偶者である場合」「日系3世の配偶者である場合」「未成年で未婚の実子である場合」「6歳未満の養子である場合」の5つに分けて掲載しています。第3号から第7号までが、実際の申請書類の入口に対応していると考えると分かりやすいと存じます。
記事の中心:未成年で未婚の実子(告示6号)
前の配偶者との間のお子さんを外国に残したまま来日し、日本で生活が落ち着いてから呼び寄せたい、というご相談は少なくありません。この場面で使うのが告示6号です。6号は、扶養する親がどの在留資格を持っているかによって、イからニまでの4つに分かれています。
| 号 | 扶養する親の立場 | 補足 |
|---|---|---|
| 6号イ | 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者 | これらの者の未成年で未婚の実子 |
| 6号ロ | 1年以上の在留期間を指定されている定住者(第3号、第4号又は第5号ハの地位により許可を受けた者を除く) | 当該者の未成年で未婚の実子 |
| 6号ハ | 第3号、第4号又は第5号ハの地位を有する者として許可を受け、1年以上の在留期間を指定されている定住者 | これらの者の未成年で未婚の実子であって素行が善良であるもの |
| 6号ニ | 日本人、永住者、特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている定住者の配偶者で、「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する者 | これらの者の未成年で未婚の実子 |
いわゆる「連れ子」を呼び寄せる場面で最も多いのは6号ニです。日本人と結婚して「日本人の配偶者等」で在留している親が、前婚のお子さんを呼ぶ場合がこれにあたります。親が日系人として「定住者」で在留している場合は6号ハとなり、この号だけは「素行が善良であるもの」という要件が明文で加えられています。配偶者側の在留資格については日本人の配偶者等(配偶者ビザ)完全ガイドを、親が永住者である場合は永住許可申請ガイドをご参照ください。
「未成年」は18歳未満(令和4年4月1日から)
見落としが致命傷になるのが年齢です。
成年年齢の引下げ等を内容とする「民法の一部を改正する法律」の成立を受け、定住者告示6号各号に規定する「未成年」については、現行の20歳未満から18歳未満に変更になり、令和4年4月1日から実施されています。同日以降、18歳以上の方は「未成年・未婚の実子」として新規に在留資格「定住者」で入国することができません。 (出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」)
さらに、在留資格認定証明書が交付された後も油断はできません。同庁は、認定証明書の交付を受けた方は18歳に達する前日までに入国してください、本邦入国時に18歳に達している方は認定証明書の有効期限にかかわらず同在留資格で入国することはできません、と明記しています。認定証明書交付申請の標準処理期間は1か月から3か月、その後に在外公館での査証申請が続きます。17歳の後半に差しかかってからのご相談では、間に合わないことが現実に起こります。
なぜ難しいのか
6号の申請が難しいのは、要件そのものが複雑だからというより、書類を集めるだけでは足りないからです。
第一に、扶養を受けて生活することの説明です。 出入国在留管理庁が挙げる必要書類には、身元保証書や出生証明書と並んで「理由書(扶養を受けなければならないことを説明したもの、適宜の様式)」があります。様式は任意で、何をどこまで書くべきかは示されていません。日本にいる親が現に扶養しており、これからも扶養していくのだという実態を、生活の経緯に沿って自分の言葉で説明しなければならない書面です。ここが薄いと、他の書類がいくら揃っていても審査官には伝わりません。
第二に、扶養能力の裏づけです。 扶養者の直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書、住民票、在職証明書、自営業であれば確定申告書の控えの写しなどが求められます。無職の場合は預貯金通帳の写しです。呼び寄せることで世帯の人数が増えることを前提に、生活が成り立つのかが見られます。
第三に、親子関係の立証です。 申請人の本国の機関から発行された出生証明書が必要とされ、認知に係る証明書がある方はそれも提出します。国によっては出生登録が遅れている、綴りが揺れている、旧姓のままであるといったことが起こり、外国語の文書にはすべて日本語訳を添えなければなりません。日本で発行される証明書は発行日から3か月以内のものに限られるため、外国の書類の取り寄せに時間がかかると、先に取った日本側の証明書が期限切れになるという段取りの問題も生じます。
第四に、扶養者が「定住者」で申請人が日系人である場合の追加書類です。 申請人の犯罪経歴証明書、祖父母及び父母が実在していたことを証明する公的な資料(旅券、死亡証明書、運転免許証等)、申請人が本人であることを証明する公的な資料が求められます。世代をさかのぼって身分関係をつなぐ作業になります。
そのうえで、同庁は各ページに次の注記を置いています。
申請いただいた後に、当局における審査の過程において、本ページ記載外の資料を求める場合もありますので、あらかじめ御承知おき願います。 (出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」必要書類ページ)
つまり、掲載されている一覧はあくまで出発点です。家族の事情は一件ごとに異なりますから、何を先回りして説明しておくかで結果が変わります。なお、日本で暮らすご家族の在留資格全体を見渡す際は、技人国ビザ保有者の家族を呼ぶ方法|家族滞在ビザの申請ガイドや、お子さんの将来を見据えた子ども(未成年)の帰化申請も判断材料になります。
告示に該当しない場合 ― 告示外定住
告示のどの号にも当てはまらないけれども、人道上その他の理由で日本での居住を認めるべき場合があります。実務ではこれを「告示外定住」と呼びます。
ここで押さえておきたいのは、告示外定住は在留資格認定証明書交付申請ができないという点です。同庁が示す認定証明書交付申請の審査基準は、次のとおりです。
別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに限る。) (出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」審査基準)
したがって告示外定住は、すでに日本にいる方が在留資格変更許可申請などによって求めていくことになります。代表例が、日本人や永住者の配偶者が離婚・死別した後の「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」から「定住者」への変更です。出入国在留管理庁は、この変更が認められた事例と認められなかった事例を公表しています(平成24年7月公表、平成29年3月改訂)。同資料は、変更許可が入管法第20条により「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限り許可されること、その判断は行おうとする活動・在留の状況・在留の必要性等を総合的に勘案して行われるものであり、公表事例に類似する場合であっても結論が異なることがあることを明記しています。
実務でどう備えるか
- 呼び寄せを考え始めた時点で、お子さんの年齢から逆算する。18歳の誕生日の前日までに入国できるかを最初に確認する。
- 親御さんご自身の在留資格と在留期間を確認する。6号ロ・ハでは「1年以上の在留期間を指定されている定住者」であることが前提です。
- 外国の出生証明書・認知に係る証明書の取り寄せを最優先で始める。日本側の証明書は3か月の有効期間があるため、後から取る。
- 理由書は、様式がないからこそ時間をかける。日本にいる親が扶養している事実と、これから扶養していく見通しを、生活の経緯に沿って書く。
- 追加資料を求められることは前提と考え、求められたら期限内に丁寧に回答する。
まとめ
定住者告示は、在留資格「定住者」の入口を第1号から第8号まで(第2号は削除)で区切った告示です。日系人、その配偶者、未成年で未婚の実子、6歳未満の養子、中国残留邦人等、第三国定住難民が並びます。このうち未成年で未婚の実子(告示6号)は、年齢という動かせない期限、扶養の実態、扶養能力、親子関係という複数の立証を同時に求められ、書類を集めるだけでは足りない類型です。そして告示のどの号にも当たらない場合は認定証明書交付申請という道が使えず、日本国内での在留資格変更に組み立て直す必要があります。
制度の細部は改正されます。ご自身のケースがどの号に当たるのかを確認するには、出入国在留管理庁の「在留資格『定住者』」のページで最新の案内をご確認いただくか、専門家にご相談ください。
当事務所のサポート
定住者に関するご相談は、金子英隆行政書士事務所にお任せください。
未成年で未婚の実子(定住者告示6号)は、立証すべき事項が多く、決してやさしい類型ではございません。当事務所には、この難しい類型で許可を得た実績がございます。ご家族の事情をうかがったうえで、どの号に当てはまるのか、何を説明すべきかを整理してご案内いたします。
- 許可率98%の実績
- 対応言語: 日本語・中国語・ベトナム語・英語
- 初回相談無料
- 千葉・東京を中心に全国対応(オンライン相談可)
よくあるご質問
定住者告示とは何ですか。
「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件」(平成2年5月24日法務省告示第132号、最近の改正は令和3年10月28日法務省告示第220号)のことです。在留資格「定住者」のうち、法務大臣があらかじめ告示で定めた地位を列挙しています。第1号から第8号まであり、第2号は削除されています。
外国にいる子どもを「定住者」で呼び寄せられるのは何歳までですか。
定住者告示6号各号の「未成年」は、令和4年(2022年)4月1日から18歳未満に変更されています。出入国在留管理庁は、在留資格認定証明書の交付を受けた方は18歳に達する前日までに入国してください、本邦入国時に18歳に達している方は在留資格認定証明書の有効期限にかかわらず同在留資格で入国することはできません、と案内しています。
未成年で未婚の実子の申請では、どのような書類が必要ですか。
出入国在留管理庁の案内では、申請書と写真のほか、扶養者の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書、住民票、在職証明書や確定申告書控えなどの職業・収入を証明するもの、身元保証書、理由書(扶養を受けなければならないことを説明したもの)、本国の機関から発行された出生証明書などが挙げられています。扶養者が「定住者」で申請人が日系人である場合には、犯罪経歴証明書なども必要とされています。
定住者告示のどの号にも当てはまらない場合、どうなりますか。
在留資格認定証明書交付申請の審査基準では、定住者の地位は「法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに限る」とされています。したがって告示に定めのない、いわゆる告示外定住については、海外から在留資格認定証明書の交付を受けて入国するという方法は取れません。日本国内での在留資格変更許可申請などによることになり、入管法第20条により「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限り許可されます。
在留資格「定住者」の在留期間はどのくらいですか。
出入国在留管理庁の案内によれば、5年、3年、1年、6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)です。なお在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間は1か月から3か月とされています。
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