金子英隆行政書士事務所 ロゴ

行政書士

金子英隆行政書士事務所

初回60分無料
在留資格 金子英隆

JESTA(電子渡航認証制度)とは|2028年度導入で短期滞在はどう変わるか

JESTA(電子渡航認証制度)とは|2028年度導入で短期滞在はどう変わるか

日本でも、米国のESTAに似た「渡航前のオンライン認証」の仕組みが法律上つくられました。正式略称はJESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)です。この記事では、JESTAの対象になるのは誰か、いつから始まるのか、そして日本に暮らす外国人の方やご家族・取引先を短期滞在で招く企業にどのような影響があるのかを、公表資料の記載に沿って整理いたします。

参照元: 出入国在留管理庁「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」(令和7年5月23日公表)/同「令和8年入管法等改正法について」(改正法の概要)/e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」

JESTAとは何か

JESTAは、査証(ビザ)を免除されている外国人が日本に来る前に、オンラインで所定の情報を提供し、入国前のスクリーニングを受ける仕組みです。出入国在留管理庁は「不法滞在者ゼロプラン」の中で、この制度の目的を次のように説明しています。

オンラインで事前に提供された情報をもとにスクリーニングを行い、好ましくない外国人の来日を未然に防止する。 (出入国在留管理庁「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」)

改正法の概要では、その趣旨がより具体的に示されています。有効な旅券を所持していることや、日本において行おうとする活動が虚偽のものでないことなどの所定の条件に適合している場合に、その旨の認証をする。これによって入国前にスクリーニングを行い、不法残留等を企図する外国人の入国を防止するとともに、上陸審査の手続の円滑化を図る、というものです。厳格な出入国管理の実現という観点から、認証は新規入国のたびに行うこととされています。

背景には短期滞在者の急増があります。改正法の概要によれば、令和7年(2025年)の外国人の新規入国者数は過去最高の約3,918万人、うち観光等を目的とする短期滞在の在留資格で上陸を許可された者は約3,846万人で、その約8割が査証免除の対象者でした。査証免除の対象者は在外公館での査証審査を受けずに入国できるため、水際のチェックが上陸審査の一点に集中していた、という課題認識があったわけです。

なお、電子渡航認証制度そのものは日本独自の発想ではありません。出入国在留管理庁は導入に先立って調査研究を行い、米国のESTAのほか、オーストラリア、カナダ、EU(ETIAS)といった各国・地域の同種制度を調査対象としたことを公表しています。

「不法滞在者ゼロプラン」7つの柱の1番目

JESTAは単独で出てきた施策ではありません。出入国在留管理庁が令和7年(2025年)5月23日に公表した「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」は、「入国管理」「在留管理・難民審査」「出国・送還」の3つの段階に分けて7つの柱を掲げており、JESTAはその1番目に置かれています。

段階
入国管理(1)電子渡航認証制度(JESTA)の早期導入
入国管理(2)退去強制が確定した外国人が多い国に対する働き掛け
在留管理・難民審査(3)難民認定申請の審査の迅速化
在留管理・難民審査(4)出入国在留管理のDX
出国・送還(5)護送官付き国費送還の促進
出国・送還(6)改正入管法の新制度を活用した自発的な帰国の促進
出国・送還(7)被仮放免者の不法就労防止

柱の並び順は「入口を締める → 在留中を管理する → 出口を確実にする」という流れになっています。JESTAが1番目にあるのは、不法滞在の発生をいちばん手前で止める施策と位置づけられているためです。同プランは(4)の中でも「JESTAの導入後は、入国から出国までの情報を一元的に管理し、不法滞在者の把握等の活用を検討する」と述べており、入国時の関門であると同時に、入国から出国までをつなぐデータの起点としても構想されています。

また(7)では、警察と協力して被仮放免者の不法就労および雇用主の不法就労助長を積極的に摘発するとされています。外国人を雇用する企業にとっては、入口(JESTA)と出口(不法就労助長の摘発)が同時に強化される流れであることを押さえておく必要がございます。

誰が対象になるのか

改正法の概要では、JESTAの対象者が3つの類型で示されています。

類型対象となる方
査証を必要としないこととされている外国人で、日本に短期間滞在して観光等の活動を行おうとする者
クルーズ船(指定旅客船)に乗って入港し、観光のため日本に上陸することを希望する外国人等
船舶等の乗継ぎのため、一時的に日本に入国する外国人の一部の者

①には、特例法(議員立法)により政令で定める者も含まれ、現行では台湾の居住者がこれに当たるとされています。

つまり、JESTAは査証免除で短期滞在する方を中心とした制度であり、すでに在留資格を持って日本にお住まいの中長期在留者の方が対象類型として挙げられているわけではありません。在留資格の基本的な考え方については、在留資格とは?基本を押さえようもあわせてご覧ください。

認証がないとどうなるか

改正法は、認証を受けたことを上陸のための条件等とし、認証も査証も受けていない外国人の入国を禁止することとしています。加えて、航空会社や船会社などの運送業者に次の2つの義務を課しています(義務違反には過料の制裁があります)。

  • 報告義務 乗船券または航空券を発行する場合には、所定の時までに、出入国在留管理庁長官に対し、その予約者の氏名等を報告しなければならない
  • 運送禁止義務 出入国在留管理庁長官から、日本に入らせることが相当でない旨の通知を受けたときは、その者を船舶等に乗せて日本に入らせてはならない

米国のESTAで「認証がなければ航空機に搭乗できない」といわれるのと同じ構造です。日本の場合は、運送業者が事前に予約者情報を報告し、入管庁から「相当でない」という通知が返ってきた人は搭乗させてはならない、という形で担保されます。空港に着いてから何とかなる制度ではないという点が、実務上いちばん重要です。

認証を受けた人には手続が速くなる

JESTAは締めつけるだけの制度ではありません。①の類型で認証を受けた方が上陸のための条件に適合しているときは、旅券への上陸許可の証印を省略することとされており、実務上はウォークスルー型ゲートの活用が想定されています。あわせて、認証を受けようとするとき等に政令で定める額の手数料を徴収すること、現行の特定登録者カードは交付しないこととすること、遭難による上陸の許可の範囲を拡大することも定められています。

いつから始まるのか

ここは和暦と西暦を取り違えやすい部分ですので、整理しておきます。

JESTAを創設する改正法は、「出入国管理及び難民認定法及び出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律の一部を改正する法律」として、令和8年(2026年)5月29日に第221回特別国会で成立し、同年6月5日に公布されました(令和8年法律第32号)。

事項時期
改正法の成立令和8年(2026年)5月29日
改正法の公布令和8年(2026年)6月5日(令和8年法律第32号)
認証(JESTA)に関する改正規定の施行令和11年(2029年)3月31日までの間において政令で定める日
手数料に関する改正規定の施行令和9年(2027年)3月31日までの間において政令で定める日
ゼロプランが掲げる導入目標2028年度中(2030年の導入予定を前倒し)

【重要】具体的な施行日はまだ決まっておりません。 認証に関する改正規定は「令和11年3月31日までの間において政令で定める日」から施行されるとされており、実際の開始日は今後の政令で定められます。「不法滞在者ゼロプラン」では、2030年の導入予定を前倒しして2028年度中の導入を目指すとされています。

2028年度は2028年4月から2029年3月まで(令和10年度)です。法律が定める施行期限である令和11年(2029年)3月31日は、ちょうど2028年度の末日に当たります。ゼロプランの目標と法律上の期限は、この点で整合しているとご理解ください。

日本に住む外国人・企業への影響

家族や取引先を短期滞在で呼ぶとき

海外のご家族や取引先を短期滞在で招く機会がある方は、渡航前に一手続が増えることを前提にスケジュールを組む必要がございます。認証は新規入国のたびに必要とされていますので、「前回受けたから今回も大丈夫」とはなりません。

短期滞在で認められる活動の範囲も改めて確認しておきましょう。入管法別表第一の三は、短期滞在を「本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」と定めています。会議への出席や商談・打合せといった業務連絡は含まれますが、そこから先は含まれません。

就労目的での短期滞在入国は認められない

ここは誤解がとても多いところです。入管法第19条第1項第2号は、別表第一の三の表の在留資格(短期滞在を含みます)をもって在留する者は、収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行ってはならないと定めています。「まず短期滞在で来日してもらって、働き始めてから在留資格を整えればよい」という進め方は、この条文に正面から反します。

さらに入管法第20条第3項ただし書は、短期滞在の在留資格をもって在留する者の在留資格変更申請について、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとすると定めています。短期滞在から就労資格への変更は、制度上、例外的な取扱いなのです。

在留資格認定証明書(COE)との違い

短期滞在とその他の在留資格を分ける、もう一つの決定的な違いが在留資格認定証明書(COE)です。入管法第7条の2は、COEの交付申請ができる外国人から「本邦において別表第一の三の表の短期滞在の項の下欄に掲げる活動を行おうとする者」を明文で除いています。つまり、短期滞在にはそもそもCOEという制度がありません

項目短期滞在(JESTAの対象)就労・居住系の在留資格
事前手続査証、または(導入後)JESTAの認証在留資格認定証明書(COE)の交付申請
根拠条文入管法別表第一の三入管法第7条の2
報酬を受ける活動認められない(法第19条第1項第2号)在留資格に応じて認められる
在留カード交付されない(法第19条の3第2号)中長期在留者には交付される
審査の主体在外公館の査証審査/入管庁の認証地方出入国在留管理局

海外から人材を招へいする流れは海外から外国人材を招聘する方法|技人国ビザの認定申請ガイドで、海外にいるご家族を呼び寄せる手続は海外の配偶者を日本に呼ぶ方法|在留資格認定証明書(COE)の申請ガイドで詳しく解説しております。扶養するご家族を呼ぶ場合は技人国ビザ保有者の家族を呼ぶ方法|家族滞在ビザの申請ガイドもご参照ください。

同じ改正で手数料の上限も上がる

JESTAを創設したのと同じ改正法は、入管法上の手数料の上限額の引上げも定めています。

手続現行の上限額改正後の上限額
在留資格の変更許可1万円10万円
在留期間の更新許可1万円10万円
永住許可1万円30万円

これは上限額であり、実際に納める額ではありません。具体的な額は引き続き政令に委任され、在留期間に応じて定めるとされています。現行の政令では、在留資格の変更許可・在留期間の更新許可の手数料は6,000円(窓口)、永住許可の手数料は1万円です。あわせて、人道上特に配慮する必要がある方で経済的困難により手数料を納付できない方等については、手数料を減額しまたは免除することができるとする規定も置かれました。永住許可の手続については永住許可申請ガイド|要件・審査期間・必要書類をご覧ください。

実務でどう備えるか

現時点で施行日が未定である以上、いま慌てて何かを申請する必要はございません。備えるべきは次の4点です。

  1. 招へいのスケジュールに余裕を持たせる JESTA導入後は渡航前の認証が必要になります。航空券の手配と同時に認証を済ませる前提で、社内の出張・招へい手続を見直しておくと安全です。
  2. 短期滞在と就労を切り分ける 業務連絡は短期滞在の範囲ですが、報酬を受ける活動は範囲外です。来日目的が「働くこと」であれば、最初からCOEの交付申請を前提に組み立ててください。
  3. 出入国の記録と在留の実態を一致させる ゼロプランは、JESTA導入後に入国から出国までの情報を一元的に管理することを検討するとしています。届出・更新を確実に行うことがより重要になります。
  4. 不法就労助長の摘発強化を意識する 在留カードの確認と就労可否の確認は、採用時の必須手続としてください。

まとめ

JESTAは、査証免除で来日する短期滞在者に渡航前のオンライン認証を求める制度です。認証を受けたことが上陸のための条件となり、運送業者には予約者情報の報告義務と運送禁止義務が課されます。一方で、認証を受けた方については旅券への上陸許可の証印を省略し、上陸審査を円滑化する面もございます。

制度を創設する改正法は令和8年(2026年)5月29日に成立・同年6月5日に公布されましたが、認証に関する規定の施行日は令和11年(2029年)3月31日までの間において政令で定める日とされており、まだ確定しておりません。「不法滞在者ゼロプラン」では2028年度中の導入を目指すとされています。

日本に暮らす外国人の方、外国人を雇用する企業にとって実務上いちばん大切なのは、短期滞在で就労はできないという原則と、就労目的の来日はCOEから始まるという手続の順序です。JESTAは入口のチェックを厳しくする制度ですから、この原則から外れた進め方は、これまで以上に通らなくなるとお考えください。

当事務所のサポート

JESTA・短期滞在・在留資格認定証明書(COE)に関するご相談は、金子英隆行政書士事務所にお任せください。

  • 許可率98%の実績
  • 対応言語: 日本語・中国語・ベトナム語・英語
  • 初回相談無料
  • 千葉・東京を中心に全国対応(オンライン相談可)

お問い合わせはこちら

よくあるご質問

JESTAはいつから始まりますか。

認証に関する改正規定の施行日は、令和11年(2029年)3月31日までの間において政令で定める日とされており、具体的な日はまだ定まっておりません。出入国在留管理庁の「不法滞在者ゼロプラン」では、2030年の導入予定を前倒しして2028年度中の導入を目指すとされています。

日本に在留資格を持って住んでいる外国人もJESTAが必要になりますか。

JESTAの対象は、査証を必要としないこととされている外国人で、日本に短期間滞在して観光等の活動を行おうとする者などです。中長期在留者として在留資格を持って日本にお住まいの方が、再入国許可・みなし再入国許可により戻る場合は、この対象類型には当たりません。

海外の家族を短期滞在で呼び寄せる場合、何に注意すればよいですか。

短期滞在は観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習または会合への参加、業務連絡などの活動に限られ、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動は認められません(入管法第19条第1項第2号)。JESTA導入後は認証を受けたことが上陸のための条件となるため、渡航前の手続に余裕を見ておく必要がございます。

短期滞在で入国してから就労ビザに変更できますか。

短期滞在の在留資格をもって在留する方の在留資格変更申請は、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとされています(入管法第20条第3項ただし書)。就労を目的として招へいする場合は、原則として在留資格認定証明書(COE)の交付申請から進めるのが本来の手続です。

JESTAと同じ改正で在留申請の手数料も変わるのですか。

同じ改正法により、入管法上の手数料の上限額が、在留資格の変更許可・在留期間の更新許可はそれぞれ10万円、永住許可は30万円に引き上げられます。実際の額は引き続き政令で定められ、施行日は令和9年(2027年)3月31日までの間において政令で定める日とされています。

#JESTA #電子渡航認証制度 #短期滞在 #不法滞在者ゼロプラン

関連する記事

在留資格

短期滞在から他の在留資格への変更|「やむを得ない特別の事情」とは

短期滞在で来日中に就職先が決まった、日本人と結婚した。そのまま在留資格を変更できるのでしょうか。入管法第20条第3項ただし書の「やむを得ない特別の事情」の意味と、認定証明書を取り直す正しい手順を条文に沿って解説します。

在留資格

専門学校卒の技人国はなぜ難しいのか|履修科目と職務内容の関連性をどう立証するか

技人国のガイドラインは、大学の専攻と業務の関連性を「柔軟に判断」、専修学校は「相当程度の関連性を必要とする」と書き分けています。専門学校卒の申請で関連性をどう立証するか、成績証明書と雇用契約書の突き合わせ方を行政書士が解説します。

在留資格

【2026年】入管制度の変更まとめ|今年変わったこと・これから変わることの全体像

2026年は在留手数料の引き上げ、特定在留カードの運用開始、留学の日本語能力確認の厳格化など、入管制度の変更が集中した年です。いつ何が変わるのかを時系列と立場別に整理し、それぞれの詳細記事へご案内します。

在留資格

家族滞在の在留期間更新|「扶養を受けること」の立証と扶養から外れそうなとき

家族滞在の在留期間更新で審査されるポイントを条文から解説。扶養関係の立証、資格外活動の週28時間、子の成人・就職・離婚など扶養から外れそうなときの選択肢まで行政書士が整理します。