特定活動46号(本邦大学卒業者)とは|技人国では通らない仕事に就くための選択肢
特定活動46号(本邦大学卒業者)とは|技人国では通らない仕事に就くための選択肢
日本の大学を卒業したのに、希望する仕事が「技術・人文知識・国際業務」(技人国)では認められない。留学生の就職では、この壁にぶつかることが少なくありません。そこで用意されているのが在留資格「特定活動」(告示第46号/本邦大学等卒業者)です。本記事では、対象となる学歴と日本語能力、技人国との決定的な違い、認められる業務の具体例を、出入国在留管理庁のガイドライン原文に沿って解説いたします。
参照元: 出入国在留管理庁「留学生の就職支援に係る『特定活動』(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン」(令和元年5月策定/令和2年2月改定/令和6年2月改定/令和8年4月改定)、同「在留資格『特定活動』(本邦大学等卒業者及びその配偶者等)」
特定活動46号とはどんな在留資格か
ガイドラインは、本制度の趣旨をこう説明しています。
本制度は、本邦大学等卒業者が本邦の公私の機関において、本邦の大学等において修得した学修の成果等のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認めるものです。
つまり「日本の大学等での学び」と「留学生として身につけた高い日本語能力」の両方を活かすことを条件に、技人国よりも広い範囲の仕事を認める制度です。在留資格の名称は「特定活動」で、パスポートに貼付される指定書によって勤務先の機関が特定されます。
技人国との決定的な違い
もっとも重要な違いは、ガイドラインの次の一文に集約されています。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められませんが、本制度においては、上記諸要件が満たされれば、これらの活動も可能です。
技人国では、学術上の素養を背景とする業務であることが求められるため、接客や製造ラインが主たる活動になる働き方は認められません。技人国の全体像は技術・人文知識・国際業務ビザ完全ガイドをご覧ください。特定活動46号では、要件を満たせばこれらの現場業務も含めて従事できます。
ただし無制限ではありません。次の2点は認められないとガイドラインが明示しています。
- 法律上資格を有する方が行うこととされている業務(いわゆる業務独占資格が必要なもの)
- 風俗関係業務
なお、タクシーの運転に必要な第二種免許について、ガイドラインは「個人の特定の市場への参入を規制することを目的とするものではないことから、いわゆる業務独占資格には該当しません」としています。
対象となる学歴
告示の別表第十一およびガイドラインが定める学歴は、次のいずれかです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 大学 | 本邦の大学を卒業して学位を授与された |
| 大学院 | 本邦の大学院の課程を修了して学位を授与された |
| 短大・高専 | 本邦の短期大学(専門職大学の前期課程を含む)または高等専門学校を卒業(修了)し、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う審査に合格して学士の学位を授与された |
| 認定専修学校専門課程 | 「外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程」(令和5年文部科学省告示第53号)により文部科学大臣の認定を受けた専修学校の専門課程等を修了し、高度専門士の称号を得た |
対象外: ガイドラインは「外国の大学卒業者及び大学院修了者並びに認定専修学校専門課程ではない専修学校専門課程や専攻科の修了者は対象となりません」と明記しています。専門学校卒業者のうち本制度を使えるのは、文部科学大臣の認定を受けた課程を修了し高度専門士の称号を得た方に限られます。認定を受けていない専門学校の卒業者は、専門学校卒で技人国を取る方法で解説している技人国のルートを検討することになります。
対象者は留学生に限りません。ガイドラインは「本邦の大学を卒業後に帰国した方や、他の就労資格で活動していた方も対象となります」としています。
日本語能力の要件
| 認められる立証方法 | 内容 |
|---|---|
| 日本語能力試験 | N1に合格(旧試験制度の「1級」も対象) |
| BJT | BJTビジネス日本語能力テストで480点以上 |
| 日本語専攻 | 大学または大学院において「日本語」を専攻して卒業した方は、上記を満たすものとして取り扱う |
「日本語」を専攻したとは、ガイドラインによれば「日本語に係る学問(日本語学、日本語教育学等)に係る学部・学科、研究科等に在籍し、当該学問を専門的に履修したこと」を意味します。外国の大学・大学院で日本語を専攻した方もこの取扱いを受けられますが、その場合も学歴要件(日本の大学等の卒業・修了)は別途満たす必要があります。
今後の見通し: ガイドラインは「日本語能力の判断方法について、当面は上記運用としますが、『日本語教育の参照枠』の活用に向けて検討を進めてまいります」と記載しています。
「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは
ガイドラインの定義は明確です。
単に雇用主等からの作業指示を理解し、自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず、いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務や、自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務であることを意味します。
さらに「学修の成果等を活用する」ことも要件です。これは、従事する業務内容に技人国の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること、または今後従事することが見込まれることを意味し、具体例として商品企画、技術開発、営業、管理業務、企画業務(広報)、教育等が挙げられています。
ガイドラインが挙げる具体的な活動例
ガイドラインは、認められ得る例と認められない例をセットで示しています。
| 業種 | 認められ得る活動 | 認められない働き方 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務(日本人への接客も可) | 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事 |
| 工場 | 日本人従業員の作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務 | ラインで指示された作業にのみ従事 |
| 小売店 | 仕入れ、商品企画、通訳を兼ねた接客販売業務(日本人への接客販売も可) | 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事 |
| ホテル・旅館 | 翻訳を兼ねた外国語ホームページの開設・更新等の広報業務、外国人客への通訳(案内)を兼ねたベルスタッフやドアマン | 客室の清掃にのみ従事 |
| タクシー会社 | 観光客(集客)のための企画・立案、通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバー(通常の乗務も可) | 車両の整備や清掃のみに従事 |
| 介護施設 | 外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、日本語を用いて介護業務に従事 | 施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事 |
| 食品製造会社 | 日本語でコミュニケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ、自らも製造ラインで作業 | 単にラインに入り、指示された作業にのみ従事 |
いずれも「日本語を活かす部分」と「学修の成果を活かす部分」が業務に含まれていることが鍵で、単純作業のみに従事する形は認められません。
契約形態の制限
| 項目 | 取扱い |
|---|---|
| 雇用形態 | フルタイムの常勤職員に限られ、短時間のパートタイムやアルバイトは対象外 |
| 派遣 | 派遣社員として派遣先で就労活動を行うことはできない |
| 社内異動 | 同一法人(法人番号が同一の機関)内の異動や配置換えは在留資格変更手続不要 |
| 転職 | 契約の相手方が変わる場合は在留資格変更許可申請が必要 |
| 社会保険 | 適切な雇用管理の確認のため、加入状況等の確認を求められることがある |
転職時に届出と就労資格証明書で対応できる技人国とは扱いが異なります。技人国側の手続は技人国ビザで転職する場合の手続きをご参照ください。なお、転職による在留資格変更許可申請では、学歴を証明する文書と日本語能力を証明する文書の提出は不要とされています。
報酬・素行・届出
報酬は「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」であることが要件です。ガイドラインは、一定の報酬額を基準として一律に判断するのではなく、地域や個々の企業の賃金体系を基礎に判断するとし、本制度では「昇給面を含めて、日本人の大学卒業者、大学院修了者等の賃金を参考とします」と述べています。
留学からの変更で見落とされがちな点: 在留資格の変更・更新では素行が善良であることが前提となり、ガイドラインは「資格外活動許可の条件に違反して、恒常的に1週について28時間を超えてアルバイトに従事していたような場合には、素行が善良であるとはみなされません」と明記しています。在留カード関係の届出義務の履行も確認されます。留学からの就職準備は留学から技人国への変更手続きも併せてご確認ください。
家族の帯同(告示47号)
上記の活動を指定された方の扶養を受ける配偶者または子については、「特定活動」(本邦大学等卒業者の配偶者等・告示第47号)の在留資格で、日常的な活動が認められます。申請では、扶養者との身分関係を証する文書(戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚証明書、出生証明書等)や、扶養者の在職証明書・課税証明書および納税証明書が必要です。扶養者と同時に申請する場合は、扶養者に関する一部の資料は不要とされています。
在留期間と提出書類の変更
在留期間は5年、3年、1年、6月または3月のいずれかが決定されますが、ガイドラインは「原則として、『留学』の在留資格からの変更許可時及び初回の在留期間更新許可時に決定される在留期間は、『1年』となります」としています。
令和8年(2026年)4月15日以降の申請から: 出入国在留管理庁のページは、この在留資格に係る申請について「所属機関の代表者に関する申告書」の追加提出が必要になったと案内しています(家族としての活動を希望する場合は添付不要)。
永住許可との関係では注意が必要です。永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)は、原則10年以上の在留に加え「この期間のうち、就労資格(在留資格『技能実習』及び『特定技能1号』を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること」、そして「現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること」を求めています。同ガイドラインの注1により、令和9年(2027年)3月31日までの間は在留期間「3年」を有する場合も最長の在留期間をもって在留しているものとして取り扱われます。特定活動46号は初回が原則1年であるため、永住を見据える方は在留期間の推移を意識した計画が欠かせません。詳しくは永住許可申請ガイドをご覧ください。
技人国と特定活動46号、どちらを選ぶか
| 比較項目 | 技人国 | 特定活動46号 |
|---|---|---|
| 学歴 | 日本・外国いずれの大学等でも可(専門士も要件次第) | 日本の大学等に限定(認定専修学校専門課程の高度専門士を含む) |
| 日本語能力 | 学歴・職歴要件の中で判断 | N1またはBJT480点以上等が必須 |
| 業務範囲 | 学術上の素養等を背景とする業務。一般的なサービス業務・製造業務が主となるものは不可 | 日本語を活かす業務を含む幅広い業務。現場業務も可 |
| 派遣 | 一定の条件下で可 | 不可 |
| 転職 | 届出・就労資格証明書等で対応 | 在留資格変更許可申請が必要 |
日本の大学を出てN1を持ち、接客や現場を含む仕事に就くのであれば特定活動46号が選択肢になります。逆に、業務内容が明確に学術上の素養を背景とするもので、派遣や転職の柔軟性を重視するのであれば技人国が向きます。要件を満たすのであれば、状況の変化に応じて相互に変更を検討することも可能です。
まとめ
特定活動46号は、日本の大学等を卒業し高い日本語能力を持つ方に、技人国では認められない幅広い業務への道を開く制度です。一方で、学歴の範囲が日本の大学等に限られ、常勤に限られ、派遣ができず、転職のたびに在留資格変更許可申請が必要になるという制約もあります。業務内容が「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」および「学修の成果等の活用」に当たることを、雇用契約書と雇用理由書のレベルで具体的に示すことが許可の鍵となります。
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よくあるご質問
外国の大学を卒業した場合でも特定活動46号は使えますか。
使えません。ガイドラインは「外国の大学卒業者及び大学院修了者並びに認定専修学校専門課程ではない専修学校専門課程や専攻科の修了者は対象となりません」と明記しています。日本の大学・大学院の卒業(修了)が必要です。
日本語能力はどの程度必要ですか。
日本語能力試験N1(旧試験制度の1級を含む)またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上です。このほか、大学または大学院で「日本語」を専攻して卒業した方は、これを満たすものとして取り扱われます。
特定活動46号でアルバイトや派遣社員として働けますか。
できません。契約機関の常勤の職員として行う活動に限られ、短時間のパートタイムやアルバイトは対象外です。また、派遣社員として派遣先で就労することもできません。
転職したら何の手続きが必要ですか。
在留資格変更許可申請が必要です。指定書で活動先の機関が指定されているため、契約の相手方が変わると指定を変更する必要があります。同一法人内の異動や配置換えであれば手続は不要です。
家族を日本に呼べますか。
扶養を受ける配偶者または子については、「特定活動」(本邦大学等卒業者の配偶者等・告示47号)の在留資格で日常的な活動が認められます。
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