【2026年7月から】留学ビザの日本語能力確認が厳格化|150時間の学習歴では足りません
【2026年7月から】留学ビザの日本語能力確認が厳格化|150時間の学習歴では足りません
出入国在留管理庁は、在留資格「留学」に係る運用の一部を見直し、日本語教育機関に入学する方の日本語能力の確認方法を厳格化しました。これまで認められていた「150時間以上の日本語学習歴」による立証が使えなくなり、試験の証明書又は面接による確認が必須となります。本記事では、変更の内容・適用時期・例外・実務での備え方を、一次情報にもとづいて解説いたします。
参照元: 出入国在留管理庁「日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて」/同「日本語教育機関への入学をお考えのみなさまへ」/同 概要資料及びQ&A(令和8年5月19日現在)
そもそも「留学」で日本語教育機関に通うには
日本語教育機関で学ぶことを目的として在留資格「留学」で在留するためには、法務省が告示をもって定める日本語教育機関又は認定日本語教育機関に入学する必要があります。日本語教育機関に在籍できる期間は、通常、最長2年間です。
そのうえで、入学時の在留審査では「日本語教育の参照枠」におけるA1相当以上の日本語能力を有することが確認されています。A1はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のA1〜C2の6段階のうち最も基礎的な段階で、基本的なフレーズを理解できる水準です。CEFRの段階そのものについては、技人国ビザのCEFR B2言語能力要件の記事で詳しく整理しております。在留資格の全体像を確認したい方は在留資格とは?基本を押さえようもあわせてご覧ください。
何が変わるのか — 「150時間の学習歴」が使えなくなります
出入国在留管理庁は、次のとおり取扱いを改めました。
| 項目 | 従来の取扱い | 見直し後の取扱い |
|---|---|---|
| A1相当以上の立証方法 | 150時間以上の日本語学習歴をもって立証可 | 試験の証明書又は面接による確認を必須 |
| 面接の実施 | 明示的な求めなし | 試験の証明書の有無にかかわらず、可能な限り面接を実施 |
| 各種確認書 | — | 教育機関が作成し、申請時に必ず提出 |
| 確認方法の記載 | — | 客観的手法で確認したことを詳細かつ具体的に記載 |
押さえるべき点: 各種確認書の「□試験」又は「□面接」の欄は、いずれか一方を必ず記載することとされています。試験の証明書で日本語能力の確認を行う場合は、所属する教育機関が適正校であるか否かにかかわらず、在留諸申請時に当該試験の証明書を提出する必要があります。
なお、前回の在留諸申請から在籍する教育機関に変更がない場合は、各種確認書の提出は不要とされています。また、この取扱いは日本語別科に対しても適用されます。
いつから変わるのか
申請の種類によって適用の開始時期が異なりますので、ここは特にご注意ください。
| 申請の種類 | 適用時期 |
|---|---|
| 在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請 | 令和8年(2026年)7月1日以降の申請から |
| 在留資格認定証明書交付申請 | 令和8年(2026年)10月以降に入学を予定する学生に係る申請から |
在留資格認定証明書交付申請は「申請日」ではなく「入学予定時期」が基準である点が、変更・更新と大きく異なります。海外から新規に来日する方は、令和8年10月期の入学から対象になるとお考えください。
この見直しの根拠は、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(令和8年〔2026年〕1月23日 外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議決定)です。同対応策では、在留資格「留学」に係る適正化が施策として掲げられています。
A1相当以上を証明できる日本語試験
出入国在留管理庁は、当面の間、次の試験によりA1相当以上の日本語能力を有するものとみなすとしています。
| 試験名 | 必要な水準 |
|---|---|
| 日本語能力試験(JLPT) | N5以上 |
| BJTビジネス日本語能力テスト | 300点以上 |
| J.TEST実用日本語検定 | F級以上又はFGレベル試験250点以上 |
| 日本語NAT-TEST | 5級以上 |
| STBJ標準ビジネス日本語テスト | 350点以上 |
| TOPJ実用日本語運用能力試験 | 初級A以上 |
| J-cert生活・職能日本語検定 | 初級以上 |
| JLCT外国人日本語能力検定 | JCT5以上 |
| 実践日本語コミュニケーション検定・ブリッジ(PJC Bridge) | C-以上 |
| JPT日本語能力試験 | 315点以上又はJPT Elementary試験68点以上 |
| 日本語オンラインテスト | JT5以上 |
| 駿台日本語能力試験(S-JEP) | 300点以上 |
進学を見据えるなら N5 では足りません。 出入国在留管理庁は、日本語教育機関修了後に大学・専門学校へ進学する場合、日本語で行われる授業を理解するためN2以上の日本語能力が求められるとしています。入学要件のA1(N5相当)はあくまで入口の水準です。
面接はどのように行われるのか
面接は、日本語教育機関が入学者選考の過程で実施します。出入国在留管理庁の概要資料では「日本語教育機関による面接(オンライン可)での能力の確認を基本とする」と明記されており、来日前でも実施できる想定です。
確認の水準について、同庁のQ&Aは次のように示しています。
適切な確認方法の例として、A1相当の試験の問題又はその同等レベルの問題を10問出題し、正答率に照らして当該試験の合格最低点以上のレベルであるか否かにより確認することが挙げられる。これ以外の方法でも差し支えないが、同水準以上の確認方法であることの説明が求められる。(出入国在留管理庁Q&A Q4を要約)
各種確認書には、「面接においてN5の問題集から日本語で問題を出題し、〇問中〇問日本語で回答(正答)した(選考基準は〇問正答)」といった具合に、客観的手法で確認したことを詳細かつ具体的に記載することが求められます。面接記録を別途添付することも差し支えないとされています。
重要なのは、各種確認書の作成主体は教育機関でなければならないという点です(同Q&A Q2)。申請人本人や仲介業者が作成した書面では要件を満たしません。
日本語能力の立証が不要となる例外
次の要件をすべて満たす場合は、上記の取扱いの対象外とされ、日本語能力に係る立証が不要です。
- 出入国在留管理庁HPに掲載の別表掲載国・地域の出身国籍であること
- 外国の高等教育機関(大学等)を卒業していること
- その卒業証明書等を提出すること
別表はアジア・太平洋・北米・中南米・欧州・中東・アフリカの各地域に分けて掲載されています。アジアで掲載されているのは、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、中国〔香港〕、中国〔マカオ〕、トルコ、ブルネイ、マレーシア、モルディブ、モンゴルの12か国・地域です。
ご注意: 別表に挙がっていない国籍の方は、この例外の対象になりません。また、別表掲載国・地域の出身であっても、外国の高等教育機関の卒業証明書等を提出しない場合は、通常どおり試験の証明書又は面接による確認が必要です。最新の別表は必ず出入国在留管理庁のホームページでご確認ください。
資格外活動(アルバイト)の把握も強化されています
同じ見直しにあわせて、留学生を受け入れる教育機関には、3か月に1度、任意の方法により、在籍する留学生から、資格外活動の許可の有無・活動先の機関名・具体的内容・毎日の資格外活動時間を確認することが求められるようになりました。確認結果と指導の記録を保存し、改善が見られない場合等には最寄りの出入国在留管理官署へ報告することとされています。
留学生の資格外活動は原則として1週につき28時間以内(長期休業期間は1日8時間以内)です。制限時間を超えてアルバイトをした場合、退去強制されたり在留期間の更新が認められず、学業の継続ができなくなる場合があります。この点は論点が多いため、別の記事で改めて詳しく取り上げます。
実務でどう備えるか
留学生ご本人が備えること
- 可能なら試験の証明書を用意する — 上表のいずれかの試験に合格しておけば、立証は最も確実です。
- 面接に備えて基礎を固める — 面接ではN5レベルの問題への口頭回答が想定されます。挨拶や自己紹介だけでは足りません。
- 卒業証明書の要否を確認する — 別表掲載国・地域の出身で外国の大学等を卒業されている方は、卒業証明書等の取得を早めに進めてください。
- 修了後の進路から逆算する — 大学・専門学校への進学にはN2以上が求められます。日本語教育機関の修了後に就労系の在留資格を目指す方は、留学から技人国への変更手続きや専門学校卒で技人国を取る方法もご覧ください。
- 甘い勧誘を信じない — 出入国在留管理庁は、「アルバイトで月30万円以上稼げる」といった事実と異なる情報を流す悪質な斡旋業者の存在に注意を促しています。学費・生活費の全額をアルバイトで賄うことは認められません。
日本語教育機関が備えること
| 備えるべきこと | 内容 |
|---|---|
| 入学者選考の手順書化 | 試験の証明書の確認と面接を選考フローに組み込む |
| 面接の客観化 | 出題数・選考基準・正答数を定め、記録として残す |
| 各種確認書の作成体制 | 教育機関が自ら記載する。記載は詳細かつ具体的に |
| 証明書の提出 | 適正校か否かにかかわらず、試験の証明書を申請時に提出 |
| 資格外活動の把握 | 3か月ごとの確認・指導・記録保存・必要時の報告 |
まとめ
- 日本語教育機関に入学する方の日本語能力は、試験の証明書又は面接による確認が必須になりました。150時間以上の学習歴だけでは足りません。
- 適用は、変更・更新は令和8年(2026年)7月1日以降の申請から、認定証明書交付申請は令和8年(2026年)10月以降に入学を予定する学生に係る申請からです。
- 面接は日本語教育機関が入学者選考の過程で実施し、オンラインでの実施も可とされています。
- 別表掲載国・地域の出身国籍で外国の高等教育機関を卒業し卒業証明書等を提出する場合は、日本語能力の立証が不要です。
- 各種確認書は教育機関が作成するもので、記載の具体性が審査に直結します。
制度は今後も見直される可能性がありますので、申請前には必ず出入国在留管理庁のホームページで最新の取扱いをご確認ください。
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よくあるご質問
150時間以上の日本語学習歴があれば、これまでどおり認められますか。
適用時期以後の申請では、150時間以上の学習歴だけでは足りません。試験の証明書又は日本語教育機関による面接での確認が必須となります。なお、面接でA1相当以上と確認された場合、150時間以上の学習歴は不要とされています(出入国在留管理庁Q&A Q1)。
いつの申請から適用されますか。
在留資格変更許可申請および在留期間更新許可申請は令和8年(2026年)7月1日以降の申請から、在留資格認定証明書交付申請は令和8年(2026年)10月以降に入学を予定する学生に係る申請から適用されます。
面接はオンラインで受けられますか。
出入国在留管理庁の概要資料には「日本語教育機関による面接(オンライン可)」と明記されています。面接は入学者選考の過程で日本語教育機関が実施します。
日本語試験を受けなくてよい場合はありますか。
出入国在留管理庁HPに掲載の別表掲載国・地域の出身国籍である申請人が、外国の高等教育機関(大学等)を卒業し、その卒業証明書等を提出する場合は、日本語能力に係る立証が不要とされています。
各種確認書は自分で書くのですか。
いいえ。各種確認書は在籍予定または在籍中の教育機関が作成するもので、申請人本人が作成するものではありません(出入国在留管理庁Q&A Q2)。
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