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経営・管理ビザの更新は「追完が来る前提」で備える|資料提出通知への実務対応

経営・管理ビザの更新は「追完が来る前提」で備える|資料提出通知への実務対応

「経営・管理」の在留期間更新許可申請を出したあと、入管から追加の資料を出すよう連絡が来て驚かれる方が増えています。実務では、この追加資料の求めを「追完(ついかん)」と呼びます。本記事では、追完とは何か、どのような書類が求められるのか、短い提出期限にどう備えるのか、そして令和7年10月16日の改正・経過措置との関係を整理いたします。

参照元: 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」/同「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」/同「在留期間更新許可申請」/同「特例期間とは?」

追完(資料提出通知)とは何か

追完とは、申請を受け付けた入管が、審査の途中で「この点を裏づける資料を出してください」と求めてくることをいいます。書面(資料提出通知)や電話・メールで届き、求められている資料の名称と提出期限が示されます。

これは制度の外の運用ではありません。出入国在留管理庁は、「経営・管理」の必要書類のページで、あらかじめ次のように案内しています。

申請いただいた後に、当局における審査の過程において、本ページ記載外の資料を求める場合もありますので、あらかじめ御承知おき願います。 (出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」)

つまり、公表された必要書類を完璧に揃えて出したとしても、追加で資料を求められることはあらかじめ想定されている、ということです。

ここでいちばん大切なのは受け止め方です。**追完は不許可の予告ではありません。**審査官が判断するための材料が足りていない、あるいは提出された資料だけでは事業の実体を読み取りきれない、という状態を伝えてきているにすぎません。言い換えれば、不許可になる前に説明する機会を与えられているということです。ここで沈黙したり、期限を過ぎたりすると、手元にある資料だけで判断されてしまいます。

今、経営・管理の更新では追完が常態になっています

当事務所が扱う「経営・管理」の在留期間更新では、審査の途中で追加資料を求められることが、例外ではなく通常の流れになっています。特定の会社や特定の申請に限った話ではなく、全体の傾向としてそうなっています。

そして、この対応は普通の方・普通の経営者にとって、決してやさしいものではありません。理由は主に3つあります。

  1. 通知に書かれているのは書類の名称だけで、「なぜ求められているのか」は書かれていない。 何を心配されているのかを読み取れないと、形だけ書類を揃えても審査官の疑問が解けません。
  2. 求められる資料の多くが、会社の外から取り寄せるものである。 労働局、年金事務所、税務署、市区町村など、窓口がばらばらで、発行までに日数がかかります。
  3. これまで何度も更新してきた方でも、初めて見る内容ばかりである。 「前回はこれで通ったから、今回も同じ書類でよいはずだ」という感覚が、いま最も危険です。

3点目は特に強調しておきたいところです。後述する令和7年10月16日の改正で、常勤職員の雇用や日本語能力といった新しい審査事項が加わり、必要書類の案内そのものが更新されました。長く日本で会社を経営してこられた方ほど、「更新は毎回同じ」という前提が崩れていることに気づきにくいのです。

どのような書類が求められるのか

実務で求められることの多い資料を、出入国在留管理庁が「経営・管理」の必要書類として案内している項目と対応させて整理します。以下は一般的な傾向であり、実際に何を求められるかは会社の規模・業種・これまでの申請内容によって変わります。

求められる資料何を確かめようとしているか
申請書のうち所属機関等が作成する部分(記載内容の補正を含む)会社側が申告した事業内容・職務内容・報酬が、他の資料と整合しているか
労働保険への加入状況及び保険料の納付状況を証する文書従業員を雇っている実体があるか、公租公課を履行しているか
社会保険への加入状況及び保険料の納付状況を証する文書同上。社会保険料の納入を確認する回答票や領収証書の写しなどが該当します
常勤の職員が1人以上であることを明らかにする、当該職員に係る賃金支払に関する文書及び住民票その他の資料常勤職員の雇用が名目だけでなく実際に継続しているか
日本語能力を明らかにする資料申請者又は常勤職員のいずれかが求められる水準を満たしているか
直近の在留期間における事業の経営又は管理に関する活動内容を具体的に説明する文書本人が実際に経営・管理の活動をしていたか(名目上の役員でないか)
直近の年度の決算文書の写し、住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書事業の継続性・安定性、そして納税の履行状況

これらは、後述する新基準が問おうとしている「常勤職員の雇用」「日本語能力」「事業の実体」と、そのまま重なります。追完で何を求められているかは、新基準のどの部分に確信が持てていないのかの裏返しだとお考えください。

なお、常勤職員については、出入国在留管理庁は「勤務が、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の勤務計画の下に毎日所定の時間中、常時その勤務に従事しなければならないもの」と説明しています。雇用契約書があるだけでは足りず、賃金の支払実績や社会保険・労働保険の加入で裏づけることが求められます。

提出期限が短い、という現実

追完でいちばん実務を圧迫するのが、提出期限です。通知に記された期限は、決して長くありません。そこから労働局や年金事務所に証明書を請求し、会社の記帳を整え、説明文書を書き起こす必要があります。

期限に間に合わないと分かったら、放置しないでください。 実務上は、通知に記載された連絡先へ早めに連絡し、どの資料が揃わないのか、いつまでに提出できる見込みかを具体的に伝えて、期限の延長を相談することがあります。公表された制度ではなく個別の判断ですので必ず認められるとは限りませんが、無断で期限を過ぎるよりはるかに望ましい対応です。

もう一つ知っておいていただきたいのが特例期間です。在留カードをお持ちの方が在留期間の満了日までに更新申請をしていれば、処分がされる時か、在留期間の満了の日から2か月が経過する日のいずれか早い時までは、従前の在留資格のまま日本に在留し、従前の活動を行うことができます。追完のやり取りで審査が在留期限をまたいでも、直ちに在留できなくなるわけではありません。

ただし特例期間は2か月が限度です。なお、在留期間更新許可申請の標準処理期間は2週間から1か月とされていますが、追完が入ればその分だけ長くなります。申請は満了日ぎりぎりではなく、満了のおおむね3か月前から動き出すのが安全です。

令和7年10月16日の改正と経過措置

追完が増えている背景には、令和7年(2025年)10月16日に施行された「経営・管理」の基準の改正があります。主な変更点は次のとおりです。

項目改正後の基準
資本金等3,000万円以上(個人事業主は事業を営むために投下されている総額)
常勤職員1人以上(日本人、特別永住者、又は法別表第二の在留資格を有する方に限る)
経歴事業の経営又は管理について3年以上の経験、又は博士・修士・専門職の学位
日本語能力申請者又は常勤職員のいずれかが、日本語教育の参照枠におけるB2相当以上
事業計画経営に関する専門的な知識を有する者(中小企業診断士、公認会計士、税理士)の確認を義務付け
事業所自宅を事業所と兼ねることは原則として認められない

制度の全体像と各要件の詳しい解説は、経営・管理ビザ完全ガイドにまとめています。技術・人文知識・国際業務から独立して起業される場合の流れは、技人国から経営・管理ビザへの変更をご覧ください。

そして、すでに日本で会社を経営されている方にとって重要なのが経過措置です。

施行後3年が経過するまで(令和10年10月16日まで)の間は、新たな基準を満たさない場合でも、そのことのみをもって在留期間更新許可申請が不許可になることはありません。 (出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」)

令和10年10月16日は西暦2028年10月16日です。**その日を過ぎれば、新基準への適合が求められます。**なお同庁は、3年経過後についても、経営状況が良好で納税義務を履行しており、次回の更新までに基準を満たす見込みがあるといった事情があれば、総合的に判断される余地があるとしています。

ここで誤解が生まれやすいので、はっきり書きます。**経過措置は「更新の審査が3年間なくなる」という意味ではありません。**経過措置が守ってくれるのは「新基準を満たさないこと」だけです。事業が実際に動いているか、事務所が実在するか、社会保険・労働保険や税金をきちんと納めているかといった従来からの審査事項は、経過措置の期間中も変わらず確認されます。追完で公租公課の資料が求められるのは、まさにこの部分です。

いま何を準備しておくべきか

追完に強い会社は、追完が来てから頑張る会社ではなく、日頃から資料がすぐ出せる状態にある会社です。次の5点を、更新の半年前には点検しておくことをお勧めします。

  1. 社会保険・労働保険の加入と納付。 加入していること以上に、滞納がないことが重要です。納付が遅れている場合は、更新申請の前に解消しておきます。納税・年金・保険の履歴が在留審査でどう見られるかは、永住申請と税金・年金・健康保険でも整理しています。
  2. 決算書と税務申告。 直近の年度の決算文書、法人税・消費税・法人住民税などの納税証明書を、いつでも出せるようにしておきます。赤字それ自体が直ちに不許可となるわけではありませんが、事業の継続性を説明する材料は必要です。
  3. 事務所の実在。 賃貸借契約書、看板や室内の写真、事業所として使っている実態が分かる資料。自宅と兼ねることは原則として認められません。
  4. 常勤職員の雇用実態。 雇用契約書だけでなく、賃金台帳・給与の振込記録・住民票・社会保険の被保険者資格の記録まで揃えて、初めて「常勤」の裏づけになります。
  5. 日本語能力。 申請者ご本人か常勤職員のいずれかが要件を満たすことを、試験の合格証や成績証明書などで示せるようにしておきます。誰の能力で要件を満たすのかを先に決めておくことが大切です。

あわせて、直近の在留期間に自分が何をしていたかを説明できる記録を残しておいてください。契約書、議事録、取引実績、日々の業務の記録。追完で最も書きにくいのが、この「経営・管理の活動内容を具体的に説明する文書」です。

更新の申請そのものでつまずかないための考え方は、在留資格は異なりますが技人国ビザの更新で不許可にならないためのチェックリストも参考になります。経営者の方が将来的に帰化を視野に入れる場合の論点は、経営者・会社役員の帰化申請にまとめています。

まとめ

  • 追完(資料提出通知)は不許可の予告ではなく、説明の機会です。期限内に、求められた理由まで考えて回答することが大切です。
  • 経営・管理の在留期間更新では、追完はもはや例外ではありません。何度も更新してこられた方ほど、初めて見る資料を求められます。
  • 求められやすいのは、労働保険・社会保険の加入と納付、常勤職員の賃金支払、日本語能力、そして直近の在留期間の活動内容を説明する文書です。
  • 提出期限は短く、外部から取り寄せる資料が多いのが実情です。間に合わないと判断したら、放置せず入管に連絡して相談してください。
  • 令和7年(2025年)10月16日施行の新基準には令和10年(2028年)10月16日までの経過措置がありますが、事業の実体と公租公課の履行は経過措置に関係なく審査されます。

当事務所のサポート

経営・管理ビザの在留期間更新、追完(資料提出通知)への対応に関するご相談は、金子英隆行政書士事務所にお任せください。すでに入管から資料の提出を求められている段階からのご相談も承っております。

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  • 対応言語: 日本語・中国語・ベトナム語・英語
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よくあるご質問

入管から追加資料の提出を求められました。これは不許可になるということですか。

いいえ、追加資料の求めは不許可の予告ではありません。出入国在留管理庁は、審査の過程で必要書類のページに記載のない資料を求める場合があるとあらかじめ案内しています。審査官が判断するために情報が足りていない、という合図ですので、説明の機会を与えられたものと受け止めて、期限内に丁寧に回答することが大切です。

追加資料の提出期限までに書類が揃いません。どうすればよいですか。

実務上は、通知書に記載された連絡先へ早めに連絡し、事情と提出見込みの時期を伝えて期限の延長を相談することがあります。必ず認められるとは限りませんが、無断で期限を過ぎるより、手元にある資料だけでも先に提出したうえで残りの見込みを伝えるほうが望ましい対応です。

在留期間の満了日が近いのに審査が終わりません。日本にいられなくなりますか。

在留カードをお持ちの方が在留期間の満了日までに在留期間更新許可申請をしている場合、処分がされる時か、在留期間の満了の日から2か月が経過する日のいずれか早い時までは、従前の在留資格で日本に在留し、従前の活動を行うことができます。これを特例期間といいます。

令和7年10月16日の改正前から経営・管理で在留していますが、すぐに新基準を満たす必要がありますか。

施行日から3年を経過するまで(令和10年〈2028年〉10月16日まで)の間は、新たな基準を満たさないことのみをもって在留期間更新許可申請が不許可になることはないとされています。ただし、事業の実体や公租公課の履行といった従来からの審査事項は、経過措置の期間中も変わらず確認されます。

何度も更新してきたので、前回と同じ書類を出せば足りますか。

同じとお考えにならないでください。令和7年10月16日の改正で常勤職員の雇用や日本語能力といった新しい審査事項が加わり、必要書類の案内も更新されています。何度も更新を重ねてこられた方ほど、これまで求められたことのない資料を求められる場面が増えています。

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