【2026年】特定技能の制度変更|19分野への拡大と外食業の新規受入れ停止
【2026年】特定技能の制度変更|19分野への拡大と外食業の新規受入れ停止
2026年(令和8年)の特定技能制度には、企業の採用計画に直結する二つの大きな動きがありました。一つは対象分野が19分野に拡大したこと、もう一つは外食業分野で新規の受入れが止まったことです。本記事では、出入国在留管理庁が公表した原文に基づき、何がいつ変わったのか、企業は何をすべきかを整理いたします。
参照元: 出入国在留管理庁「特定技能制度」/同「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」(令和8年3月27日)/同「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(令和8年7月17日更新)/「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(令和8年1月23日閣議決定)
2026年に変わったことの全体像
| 変更点 | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| 対象分野の拡大 | 16分野 → 19分野 | 令和8年1月23日 閣議決定 |
| 受入れ見込数の再設定 | 分野ごとに令和10年度末までの上限を設定 | 令和8年1月23日 閣議決定 |
| 外食業分野の新規受入れ停止 | 在留資格認定証明書の交付を一時停止 | 令和8年4月13日 |
分野拡大というと「受入れが広がった」という印象を持たれがちですが、同じ閣議決定で分野ごとの受入れ上限が引き直されており、実際にはその上限に到達した分野から順に受入れが止まる局面に入っています。制度の基本的な仕組みは特定技能ビザ完全ガイドをご覧ください。
対象分野が19分野に拡大
令和8年(2026年)1月23日の閣議決定により、分野別運用方針が別紙1から別紙19まで定められ、特定技能の対象分野は19分野となりました。新たに加わったのは次の3分野です。
| 追加分野 | 業務区分 | 従事する業務 | 1号の受入れ見込数 |
|---|---|---|---|
| リネンサプライ | リネンサプライ | リネン類の入荷から出荷までの一連の業務 | 4,300人 |
| 物流倉庫 | 物流倉庫 | 物流倉庫において、倉庫内で行われる貨物の入出庫、保管その他の倉庫内各種作業を実施する業務 | 11,400人 |
| 資源循環 | 廃棄物処分業(中間処理) | 家庭からの排出及び事業活動に伴って排出される廃棄物の中間処理(減量化・減容化・安定化・安全化)を行う業務 | 900人 |
※受入れ見込数はいずれも令和8年度からの3年間の数であり、令和10年度末までの受入れの上限として運用されます。
3分野に共通する要件
3分野とも、特定技能1号で受け入れる外国人は次の二つの試験に合格した者とされています。
- 技能水準: 各分野の「特定技能1号評価試験」(リネンサプライ分野特定技能1号評価試験、物流倉庫分野特定技能1号評価試験、資源循環分野特定技能1号評価試験)
- 日本語能力水準: 「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の水準と認められるもの
また、雇用形態は3分野とも直接雇用に限るとされています。試験制度の全体像は特定技能試験ガイドで解説しております。
分野ごとに上乗せされる受入れ機関の要件
分野別運用方針では、受入れ機関(特定技能所属機関)に特有の条件が課されています。
- リネンサプライ: 業界団体が定めた「衛生基準」の認定を受けた施設で受け入れること、分野別協議会の構成員になること
- 物流倉庫: 倉庫業法に基づく倉庫業の登録を受けた倉庫業者等であること、入庫管理・在庫管理・出庫管理の機能を持つシステム等を導入していること
- 資源循環: 環境大臣が設置する分野別協議会の構成員であること
なお、令和8年3月末時点の入管庁資料では、この3分野の在留者数はいずれも計上されておらず、省令等の準備が整い次第受入れが可能となるとされています。受入れ機関側の義務全般については特定技能の受入れ企業の義務をご確認ください。
外食業分野の新規受入れ停止
2026年の変更のうち、企業への影響が最も大きいのがこちらです。
経緯
出入国在留管理庁と農林水産省は、令和8年(2026年)3月27日、「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」を公表しました。原文には次のように記載されています。
外食業分野における特定技能1号の在留者数(以下「在留者数」という)は、本年2月末現在で約4万6千人(速報値)となっており、本年5月頃に受入れ見込数(受入れ上限。5万人)を超えることが見込まれる状況です。
その後、令和8年4月3日に農林水産大臣から法務大臣に対して停止措置の要請がなされ、令和8年(2026年)4月13日、法務大臣が入管法第7条の2第4項に基づく停止措置をとりました。
手続ごとの取扱い
ここが最も誤解の生じやすいところです。停止されているのは認定証明書だけではありません。
| 手続 | 令和8年4月13日以降に受理した申請の取扱い |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(特定技能1号・外食業) | 不交付 |
| 在留資格変更許可申請(特定技能1号・外食業へ) | 原則として不許可(下記の例外あり) |
| 特定活動(特定技能1号移行準備)への変更許可申請 | 不許可(下記の例外あり) |
| 在留期間更新許可申請 | 通常どおり審査 |
4月13日より前に受理された認定証明書交付申請は、審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次交付されますが、原文は「現に在留している方からの在留資格変更許可申請を優先的に処理するため、交付までに相当な遅延が生じることが見込まれます」としています。海外から呼び寄せる予定であった企業は、この遅延を前提に計画を立て直す必要がございます。
例外として通常どおり審査されるもの
在留資格変更許可申請について、原文は4月13日以降も次の申請は通常どおり審査するとしています。
- 外食業分野で特定技能1号として在留する方からの申請(転職等に伴う申請)
さらに、次の①②に該当する場合は、審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次許可される(①を優先して処理)とされています。
- 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了し、特定技能1号(外食業分野)に移行する方
- 既に外食業分野に係る特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けており、特定技能1号(外食業分野)に移行する方
ただし原文には、許可する時点での在留者数の状況によっては、特定技能1号ではなく特定活動(特定技能1号移行準備)への変更または同在留資格での在留期間更新(更新は1回まで)を案内する場合がある、との留保が付されています。技能実習からの移行を予定している企業は、技能実習から特定技能への移行手続きと併せてご確認ください。
すでに就労している外国人への影響
在留期間更新許可申請は通常どおり審査されます。 入管庁の説明資料では、更新について「許可を継続(在留者数の増加に影響しないため)」と明記されています。すでに外食業で特定技能1号として働いている方が、そのまま同じ会社で在留を続けることには、今回の措置は影響しないと理解してよい記載です。転職に伴う在留資格変更許可申請も通常どおり審査するとされています。
令和8年7月17日更新の「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」では、審査の進捗が次のとおり公表されています。
| 申請の種類 | 審査状況(令和8年7月17日時点) |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 交付停止中 |
| 変更:技能実習から | 令和8年6月30日までの申請を処理 |
| 変更:特定活動(特定技能1号移行準備)から | 令和8年6月30日までの申請を処理 |
| 変更:特定技能1号内での転職 | 全ての申請を処理 |
| 変更:その他の在留資格から | 令和8年4月12日までの申請を処理(4月13日以降受理分は原則不許可) |
| 在留期間更新許可申請 | 通常どおり順次審査が終了次第許可 |
再開の見通し
入管庁が令和8年4月22日に追加公表した資料では、受入れの再開および受入れ見込数の再設定の時期は「未定」と記載されています。令和8年7月時点で再開時期は公表されておらず、いつ再開されるかを前提とした採用計画は立てられない状況です。外食業分野の実務全般は外食・飲食料品製造の特定技能で解説しております。
「受入れ見込数」という仕組みを理解する
今回の外食業の停止は、突発的な運用ではなく、制度に最初から組み込まれた仕組みが作動したものです。
分野別運用方針では、分野ごとに1号特定技能外国人の受入れ見込数が定められ、これを受入れの上限として運用すると明記されています。そして、分野所管大臣は有効求人倍率や在留者数などの指標により人手不足状況を把握し、受入れ見込数を超えることが見込まれる場合等には、法務大臣に対して一時的に在留資格認定証明書の交付の停止を求めます(入管法第7条の2第3項・第4項)。再び人材確保の必要性が生じた場合には、同じく交付の再開を求める仕組みです。
つまり、19分野すべてが同じ構造を持っています。 外食業だけが特別なのではなく、上限に近づいた分野から順に同じことが起こり得ます。
分野ごとの充足率(令和8年3月末時点・速報値)
入管庁が令和8年7月3日に公表した「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について」から、充足率の高い分野を抜き出すと次のとおりです。
| 分野 | 受入れ見込数 | 在留者数 | 充足率 |
|---|---|---|---|
| 外食業 | 50,000人 | 47,714人 | 95.4% |
| 飲食料品製造業 | 133,500人 | 96,367人 | 72.2% |
| 建設 | 76,000人 | 51,055人 | 67.2% |
| 介護 | 126,900人 | 74,745人 | 58.9% |
| 農業 | 73,300人 | 39,950人 | 54.5% |
| (19分野の合計) | 805,700人 | 404,527人 | 50.2% |
飲食料品製造業は年間増加数が20,509人であり、この水準が続けば上限までの余裕はそう長くありません。自社の分野の充足率を定期的に確認することが、これからの採用計画の前提になります。
いつから変わるのか(和暦・西暦対照)
| 事項 | 和暦 | 西暦 |
|---|---|---|
| 分野別運用方針の閣議決定(19分野・受入れ見込数の再設定) | 令和8年1月23日 | 2026年1月23日 |
| 外食業の受入れ上限の運用方針の公表 | 令和8年3月27日 | 2026年3月27日 |
| 農林水産大臣から法務大臣への停止措置の要請 | 令和8年4月3日 | 2026年4月3日 |
| 外食業の在留資格認定証明書交付の停止措置 | 令和8年4月13日 | 2026年4月13日 |
| 受入れ見込数の対象期間の終期 | 令和10年度末 | 2029年3月末 |
実務でどう備えるか
- 自社の分野の充足率を確認する。 入管庁は分野ごとの受入れ見込数と在留者数を定期的に公表しています。充足率が高い分野に属する企業は、上限到達の可能性を織り込んでください。
- 採用計画を前倒しする。 停止措置は「受理した日」を基準に区切られます。数か月の遅れが、そのまま採用可否を分けます。
- すでに在留している人材の定着を優先する。 新規受入れが止まっても更新と転職は動きます。停止分野では、社内の待遇改善による定着が最も確実な人材確保策になります。
- 他の在留資格を検討する。 業務内容によっては技術・人文知識・国際業務が選択肢になる場合があります。判断の分かれ目は特定技能と技人国の違いで整理しております。
- 第三者の要約ではなく原文を確認する。 停止措置は手続の種類ごとに取扱いが異なり、例外も細かく定められています。「外食業は全部止まった」という理解で計画を立てると、動かせたはずの手続を逃すことになります。
まとめ
- 令和8年(2026年)1月23日の閣議決定により、特定技能の対象分野は19分野となり、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環が追加されました。
- 3分野はいずれも各分野の特定技能1号評価試験と「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上が要件で、雇用形態は直接雇用に限られます。
- 外食業分野は受入れ見込数5万人に達する見込みとなり、令和8年4月13日から在留資格認定証明書の交付が停止され、同分野への在留資格変更許可申請も原則不許可とされています。
- 在留期間更新許可申請と、同分野内での転職に伴う変更許可申請は通常どおり審査されます。
- 再開時期は未定です。受入れ見込数は全19分野に設定されており、他の分野でも同じことが起こり得ます。
当事務所のサポート
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よくあるご質問
特定技能の対象分野は現在いくつですか。
19分野です。令和8年(2026年)1月23日の閣議決定により、従来の16分野にリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が加わりました。
外食業分野の在留資格認定証明書(COE)はいつから交付が止まっていますか。
令和8年(2026年)4月13日からです。同日以降に受理された外食業分野の特定技能1号に係る在留資格認定証明書交付申請は不交付とされています。同日より前に受理された申請は、審査の上、受入れ見込数の範囲内で順次交付されるとされていますが、交付までに相当な遅延が生じることが見込まれると公表されています。
すでに外食業で特定技能1号として働いている外国人の在留期間更新はできますか。
出入国在留管理庁は、在留期間更新許可申請については「通常どおり審査します」としています。更新は在留者数の増加に影響しないためと説明されています。また、外食業分野で特定技能1号として在留する方の転職等に伴う在留資格変更許可申請も通常どおり審査するとされています。
外食業の受入れはいつ再開されますか。
令和8年(2026年)7月時点で再開時期は公表されていません。入管庁の資料では、受入れの再開および受入れ見込数の再設定の時期は「未定」と記載されています。
他の分野でも同じように受入れが止まることはありますか。
あり得ます。受入れ見込数は分野ごとに設定され、それを受入れの上限として運用されます。在留者数が見込数を超えることが見込まれる場合、分野所管大臣が法務大臣に対して在留資格認定証明書の交付の一時停止を求める仕組みが、入管法第7条の2第3項・第4項および分野別運用方針に定められています。
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