外国人を雇う会社の届出義務カレンダー|入管とハローワーク、いつ・どこに何を出すか
外国人を雇う会社の届出義務カレンダー|入管とハローワーク、いつ・どこに何を出すか
外国人を雇用すると、会社には届出義務が生じます。ところが「入管に出すのか、ハローワークに出すのか」「本人が出すのか、会社が出すのか」が混同されたまま運用されている例が少なくございません。本記事では、根拠条文と期限を一次情報で確認したうえで、入社・更新・転職・社名変更・廃業といった場面ごとに、誰が・どこに・いつまでに何を出すのかを一覧にいたします。
参照元: e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(昭和26年政令第319号)第19条の7、第19条の9、第19条の16、第19条の17、第19条の18、第71条の2、第71条の5/「出入国管理及び難民認定法施行規則」第19条の16、別表第三の四/「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(昭和41年法律第132号)第28条、第40条/出入国在留管理庁「所属機関による届出手続」「中長期在留者の受入れに関する届出」「所属(活動)機関に関する届出」「所属(契約)機関に関する届出」「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」「新様式の在留カードに係る在留期間の確認方法について」/厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
届出先は2つある — 制度が別なので両方必要
まず押さえていただきたいのは、外国人雇用に関する届出制度が 2つの別の法律に基づいて並存している という点です。片方を出したから他方が免除される、という関係ではございません(ただし後述のとおり、入管側には例外的な適用除外がございます)。
| 項目 | 入管への届出 | ハローワークへの届出 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の16・第19条の17・第19条の18 | 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第28条第1項 |
| 目的 | 在留管理(在留資格に応じた活動が行われているかの把握) | 雇用管理の改善・再就職支援 |
| 主な義務者 | 外国人本人(第19条の16)/受入れ機関(第19条の17・第19条の18) | 事業主 |
| 届出先 | 出入国在留管理庁長官(地方出入国在留管理局・電子届出システム)、住居地は市区町村 | 事業所を管轄するハローワーク |
| 罰則 | 本人の届出義務違反は20万円以下の罰金(第71条の5第3号)。第19条の17には罰則なし | 30万円以下の罰金(第40条第1項第2号)。両罰規定あり |
会社が入管に届け出るケースは限られます
ここが実務で最も誤解されている点です。入管法第19条の17は、中長期在留者を受け入れている機関に対し、受入れの開始・終了について「届け出るよう努めなければならない」と定めています。そして入管法施行規則第19条の16第1項は、その対象機関から 労働施策総合推進法第28条第1項の届出をしなければならない事業主を明文で除外 しています。
出入国在留管理庁のQ&Aは、この点を「外国人雇用状況届出の提出が義務付けられている機関は、同届出を提出すれば入管に所属機関による届出を提出する必要はありません」と説明しています。
つまり、外国人を 従業員として雇用している普通の会社 は、ハローワークに外国人雇用状況の届出を出していれば、入管への「所属機関による届出」を重ねて出す必要はございません。では、誰が第19条の17の届出をするのかというと、次のような機関です。
- 雇用関係を伴わない受入れをしている機関(外国人が役員に就任した場合など、ハローワークの届出義務が生じないケース)
- 「研修」の在留資格の方を受け入れている機関
- 「留学」の在留資格の方を受け入れている教育機関(受入れの開始・終了に加え、毎年5月1日と11月1日時点の受入れ状況の届出も必要です)
期限はいずれも 事由が生じた日から14日以内 です。届出事項は入管法施行規則別表第三の四に定められており、受入れの開始と受入れの終了の2つに限られます。会社の名称や所在地が変わったことは、機関側の届出事由に含まれておりません。
なお第19条の17は努力義務の形で規定されており、罰則はございません。もっとも同庁は、届出を行わなかったとしても刑罰を科されることはないものの、在留審査が慎重になる可能性があると案内しております。届出をしない積極的な理由はないとお考えください。
外国人本人が行う届出 — 会社が代わりに出すことはできません
一方、入管法第19条の16などが定める届出は、義務者が外国人本人です。会社が代行して提出する性質のものではなく、会社の役割は「本人に期限内の届出を促し、必要な情報(新しい商号や所在地など)を渡すこと」になります。
| 届出の種類 | 対象 | 事由 | 期限・届出先 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 住居地の届出 | 中長期在留者 | 新規上陸後の住居地の決定、住居地の変更 | 14日以内・市区町村(在留カードを提出) | 第19条の7第1項、第19条の9第1項 |
| 所属(活動)機関に関する届出 | 教授、高度専門職1号ハ・2号(ハ)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学、研修 | 活動機関の名称・所在地の変更、消滅、離脱、移籍 | 14日以内・出入国在留管理庁長官 | 第19条の16第1号 |
| 所属(契約)機関に関する届出 | 高度専門職1号イ・ロ、同2号(イ・ロ)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行、技能、特定技能 | 契約機関の名称・所在地の変更、消滅、契約の終了、新たな契約の締結 | 14日以内・出入国在留管理庁長官 | 第19条の16第2号 |
| 配偶者に関する届出 | 家族滞在(配偶者)、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等 | 配偶者との離婚または死別 | 14日以内・出入国在留管理庁長官 | 第19条の16第3号 |
届出をしなかった場合は20万円以下の罰金(第71条の5第3号)、虚偽の届出をした場合は1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金(第71条の2第1号)の対象です。届出を怠ることは在留資格の取消しの検討材料にもなり得ますので、在留資格の取消し(入管法第22条の4)と届出義務もあわせてご確認ください。届出はインターネット(電子届出システム)、窓口持参、郵送のいずれでも行えます。
ハローワークへの届出 — 外国人雇用状況の届出
会社が確実に行わなければならないのは、こちらです。労働施策総合推進法第28条第1項は、事業主に対し、新たに外国人を雇い入れた場合とその雇用する外国人が離職した場合に、氏名・在留資格・在留期間その他の事項を確認して厚生労働大臣に届け出ることを義務づけています。雇入れと離職の両方が対象である点にご注意ください。
| 区分 | 様式 | 雇入れの期限 | 離職の期限 |
|---|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者となる場合 | 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)/資格喪失届(様式第4号)の備考欄に記載 | 翌月10日まで | 離職の翌日から起算して10日以内 |
| 雇用保険の被保険者とならない場合 | 外国人雇用状況届出書(様式第3号) | 翌月末日まで | 翌月末日まで |
対象となるのは日本国籍を有しない方で、在留資格「外交」「公用」の方と特別永住者は対象になりません。留学生のアルバイトも対象で、その際は資格外活動許可を得ていることの確認が必要です。届出をせず、または虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金の対象であり(第40条第1項第2号)、同条第2項の両罰規定により法人にも同じ刑が科されます。在留カードの確認手順や不法就労助長罪との関係は不法滞在者ゼロプランとは|外国人を雇用する企業がいま取るべき実務対応で詳しく整理しております。
在留カードの新様式にご注意ください。 出入国在留管理庁は、令和8年(2026年)6月14日以降に交付される新様式の在留カードには在留期間の情報が券面に記載されていないとし、当面は住民票に記載された在留期間で確認するよう案内しています。読取アプリの改修版は令和8年9月を目途にリリース予定とされています。届出には在留期間の記載が必要ですので、確認方法の変更を社内で共有してください。
特定技能・技能実習・登録支援機関は別建てです
在留資格によっては、上記に加えて独自の届出制度が用意されております。
特定技能所属機関の届出は入管法第19条の18に基づく 法律上の義務 で、努力義務にとどまる第19条の17とは性質が異なります。雇用契約の変更・終了・新規締結、支援計画の変更、受入れ困難となった場合などの随時届出は、事由が生じた日から14日以内です。定期届出については、出入国在留管理庁が令和8年(2026年)4月1日から従来の四半期ごとの提出を改め、対象期間を4月1日から翌年3月31日までとする 年1回の提出(翌年5月31日まで) に変更したと案内しています。登録支援機関にも支援実施状況に係る届出があります。詳しくは特定技能の受入れ企業の義務|支援計画と届出のすべてをご覧ください。
技能実習は入管法ではなく技能実習法に基づく別の枠組みで、外国人技能実習機構への報告等が求められます。なお技能実習制度を発展的に解消する育成就労制度は、令和9年(2027年)4月1日から受入れが開始される予定です。
場面別・届出カレンダー
実務でそのまま使えるよう、場面ごとに整理いたしました。「会社→入管」の欄は、外国人雇用状況の届出義務がある事業主は原則として適用除外になる点を前提としています。
| 場面 | 会社→入管(第19条の17) | 本人→入管(第19条の16等) | 会社→ハローワーク(第28条) |
|---|---|---|---|
| 外国人を雇い入れたとき | 原則不要(適用除外)。役員就任・研修・留学の受入れは受入れ開始の届出を14日以内 | 転職・新規契約の場合は「新たな契約の締結」を14日以内 | 被保険者は翌月10日まで/被保険者でない方は翌月末日まで |
| 在留期間を更新したとき | 届出事由なし | 届出事由なし(更新許可申請を期間満了前に行う) | 届出事由なし |
| 在留資格を変更したとき | 届出事由なし | 契約機関に変更が生じた場合は該当(14日以内) | 「雇入れ」に当たる場合のみ |
| 本人が転職・退職したとき | 原則不要(適用除外)。適用除外に当たらない機関は受入れの終了を14日以内 | 「契約の終了」を14日以内。転職先とは「新たな契約の締結」を14日以内 | 離職の届出(被保険者は翌日から10日以内/被保険者でない方は翌月末日まで) |
| 会社の商号・所在地が変わったとき | 届出事由に含まれない | 契約機関(活動機関)の名称・所在地の変更を14日以内 | 届出事由なし |
| 会社が消滅したとき(廃業・合併等) | 受入れの終了として14日以内(適用除外に当たらない機関) | 契約機関の消滅を14日以内 | 離職の届出 |
| 本人が引っ越したとき | — | 住居地の変更を14日以内・市区町村へ | — |
| 本人が離婚・死別したとき | — | 配偶者に関する届出を14日以内(対象の在留資格の方) | — |
よくある漏れ3つ
1つ目は、更新の際に会社が用意する資料です。 在留期間の更新は届出事由ではありませんが、申請では会社側の資料が必要になります。決算文書の提出状況によってカテゴリーの判定が変わり、必要書類も変わりますので、期間満了の3か月前を目安に準備を始めてください。詳しくは技人国ビザの更新で不許可にならないためのチェックリストをご参照ください。
2つ目は、退職時の届出です。 採用時の届出は人事の手続きに組み込まれていても、退職時の届出は抜けやすい項目です。ハローワークへの離職の届出は期限が短く、雇用保険の被保険者の場合は離職の翌日から10日以内です。同時に、本人にも「契約の終了」の届出(14日以内)が必要であることをお伝えください。転職に伴う手続きの全体像は技人国ビザで転職する場合の手続きにまとめております。
3つ目は、社名変更・本店移転時の届出です。 会社側に届出義務がないため、そもそも届出の論点が意識されないまま放置されがちです。この場面で届出義務を負うのは外国人本人であり、期限は14日以内です。会社が変更登記をした段階で、対象となる従業員に新しい商号・所在地を通知する運用を作っておくと確実です。
実務でどう備えるか
届出漏れの多くは、知識ではなく 仕組みの不在 から生じます。次の3点を整えるだけで、実務は大きく安定いたします。
第一に、外国人従業員の名簿を作り、氏名・在留資格・在留期間の満了日・雇用保険の被保険者かどうかを一元管理してください。第二に、入社・退職・登記変更という社内イベントに、届出のチェック項目を紐づけてください。第三に、本人が行う届出については、入社時のオリエンテーションで14日以内という期限を必ず案内し、電子届出システムの利用方法まで伝えておくことをおすすめいたします。受入れ企業側に求められる体制の全体像は技人国を雇う企業側の要件と注意点もご参照ください。
届出は、いずれも「事由が生じた日」から起算します。社内の決裁が下りた日でも、書類が総務に回ってきた日でもございません。起算日の認識のずれが、期限超過の最も多い原因です。
まとめ
外国人を雇用する会社の届出義務は、入管とハローワークの2系統に分かれています。従業員として雇用している場合、会社が入管に出す届出は原則として適用除外となり、会社の義務はハローワークへの外国人雇用状況の届出に集約されます。その期限は、雇用保険の被保険者であれば雇入れが翌月10日まで・離職が翌日から10日以内、被保険者でなければ雇入れ・離職ともに翌月末日までです。
一方、社名変更や本店移転、転職・退職に伴う届出は外国人本人の義務であり、期限はいずれも14日以内です。会社に義務がないからこそ漏れやすい領域ですので、社内イベントと届出を紐づける運用をご検討ください。本記事に記載のない個別の取扱いや最新の様式については、出入国在留管理庁および厚生労働省のホームページでご確認ください。
当事務所のサポート
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よくあるご質問
外国人を雇い入れたら、入管とハローワークの両方に届出が必要ですか。
従業員として雇い入れる場合、入管への「所属機関による届出」は原則として不要です。入管法施行規則第19条の16第1項が、労働施策総合推進法第28条第1項の届出をしなければならない事業主を対象から除いているためです。したがって会社が出すのはハローワークへの外国人雇用状況の届出になります。ただし雇用関係のない受入れ(役員就任など)や、研修・留学生の受入れ機関は、入管への届出の対象です。
外国人雇用状況の届出の期限を教えてください。
雇用保険の被保険者となる方は、雇入れが翌月10日まで、離職が翌日から起算して10日以内です。雇用保険の被保険者とならない方は、外国人雇用状況届出書(様式第3号)により、雇入れ・離職ともに翌月末日までに届け出ます。
届出を怠るとどうなりますか。
外国人雇用状況の届出をせず、または虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金の対象です(労働施策総合推進法第40条第1項第2号)。同条第2項に両罰規定があり、法人にも同じ刑が科されます。なお外国人本人の届出義務違反は20万円以下の罰金(入管法第71条の5第3号)です。
会社の商号や本店所在地が変わったとき、会社から入管に届け出るのですか。
いいえ。入管法第19条の17に基づく機関側の届出事項は、入管法施行規則別表第三の四により受入れの開始と終了に限られており、名称・所在地の変更は含まれていません。名称・所在地の変更は、外国人本人が14日以内に「所属機関に関する届出」を行う事項です(入管法第19条の16)。会社としては、変更の事実と新しい商号・所在地を本人に伝えることが実務上の対応になります。
在留期間を更新したときも届出が必要ですか。
労働施策総合推進法第28条第1項の届出事由は「新たに外国人を雇い入れた場合」と「その雇用する外国人が離職した場合」の2つに限られており、在留期間の更新それ自体は届出事由ではありません。ただし更新許可の申請では会社側の資料が必要になりますので、期限管理と資料準備は別途必要です。
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