特定技能1号の外国人を雇う会社には、仕事と生活を支える「支援」を行う義務があります。通訳や定期面談の体制を自社で整えるのは負担が大きいため、登録支援機関に支援を任せる会社が多くあります。ただし、任せられるのは支援の実施までです。雇用契約を守ることや入管への届出は、委託した後も会社の義務として残ります。
本記事では、何を任せられて何が会社に残るのか、そして登録支援機関をどう選べばよいかを、入管法と出入国在留管理庁(以下「入管庁」)の運用要領に基づいて整理します。特定技能の受入れを考えている建設会社の方にも向けた内容です。
参照元: e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第2条の5・第19条の18・第19条の20〜第19条の23・第19条の28・第71条の4・第76条の2/同「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」第2条/出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)/同「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」/同「特定技能外国人受入れに関する運用要領改正のポイント」(令和7年3月)/同「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」/同「登録支援機関登録簿」/法務省・国土交通省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(建設分野)」/国土交通省「建設特定技能受入計画のオンライン申請について【新規】」(2025年4月4日)/出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和7年6月)/同「申請等取次者としての承認手続」/e-Gov法令検索「行政書士法」第1条の3・第19条
建設会社のお悩みは、ワンストップで。 当事務所は、行政書士が営む登録支援機関です。支援の実施に加えて、特定技能の在留申請の書類、会社が出す定期届出・随時届出の書類、国土交通省の受入計画の認定申請まで、一般の登録支援機関では引き受けられない書類の作成と代理を、ワンストップでお引き受けします。
そもそも「支援」とは何か
特定技能1号の外国人を雇う会社を、入管法では「特定技能所属機関」と呼びます。特定技能所属機関は、「1号特定技能外国人支援計画」(以下「支援計画」)を作り、それに基づいて支援を行わなければなりません(入管法第2条の5第6項、第19条の22第1項)。支援とは、外国人が仕事と日本での生活を安定して続けられるようにするための手助けです。特定技能2号の外国人については、支援計画は要りません。
入管庁の運用要領では、行わなければならない「義務的支援」が次の10項目に整理されています。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| ① 事前ガイダンス | 雇用契約の内容や日本での活動内容などを、申請の前に説明する |
| ② 出入国する際の送迎 | 入国時と帰国時に、空港などとの間を送迎する |
| ③ 住居確保・生活に必要な契約の支援 | 住まいの確保、銀行口座や携帯電話などの契約を手伝う |
| ④ 生活オリエンテーション | 生活のルール、医療、防災などの情報を伝える |
| ⑤ 公的手続等への同行 | 役所での手続などに必要に応じて付き添う |
| ⑥ 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室などを案内する |
| ⑦ 相談・苦情への対応 | 仕事や生活の相談に応じる |
| ⑧ 日本人との交流促進 | 地域の行事などを案内する |
| ⑨ 転職支援 | 会社の都合で契約を解除する場合に、次の受入れ先探しを手伝う |
| ⑩ 定期的な面談・行政機関への通報 | 本人と上司それぞれと3か月に1回以上面談し、問題があれば関係機関に通報する |
押さえておきたい点は3つです。
- 言語 事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、定期的な面談は、外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。込み入った相談では通訳人の介在が不可欠と考えられる、と運用要領は述べています。
- 費用 義務的支援に要する費用を、直接又は間接に外国人本人に負担させることはできません。
- 定期的な面談 令和7年(2025年)4月の運用改正により、本人と上司の双方が同意していれば、オンラインでの面談も可能になりました。この場合は録画を契約終了の日から1年以上保管します。本人が対面を希望したときは、対面で行います。
また令和7年4月からは、外国人が働く事業所と住まいのある市区町村の「共生施策」(ごみ出しのルールの案内、日本語教室など)を確認し、それを踏まえて支援計画を作ることになりました。各項目の詳しい内容は特定技能1号の支援計画|10項目の義務的支援を詳解をご覧ください。
「全部委託」と「一部委託」は扱いが違う
入管法は、会社が支援の全部又は一部を他の者に委託することを認めています(第19条の22第2項)。ただし、登録支援機関に全部を任せるか、それ以外かで、会社に求められることが大きく変わります。
登録支援機関とは、支援の実施を受託するために出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関です(第19条の23)。登録は5年ごとの更新制です。
| 支援のやり方 | 会社に求められること |
|---|---|
| 自社ですべて行う | 支援を適正に行える体制を、会社自身が備える |
| 一部だけ外部に任せる | 上と同じ。加えて、支援計画に委託の範囲を明示する |
| 登録支援機関に全部任せる | 支援体制の基準に適合するものとみなされる(第2条の5第5項) |
自社で支援する場合の体制の基準は、「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(以下「基準省令」)の第2条第2項で細かく定められています。たとえば、過去2年間に就労が認められる在留資格の外国人を適正に受け入れた実績があるか、外国人の生活相談に従事した経験のある役職員がいることなどを前提に、支援責任者と事業所ごとの支援担当者を選ぶことが求められます。支援責任者と支援担当者は、外国人を監督する立場にない人でなければなりません。さらに、外国人が十分に理解できる言語で支援できる体制や、支援の記録を作って1年以上保管する体制も必要です。
初めて外国人を受け入れる会社や、現場の上司しか外国人と接点がない会社では、この基準を満たすのは容易ではありません。登録支援機関への全部委託が選ばれることが多いのは、このためです。
全部委託には、次の決まりもあります。
- 全部委託をしても、登録支援機関の体制からみて実効性のある支援ができないと認められるときは、受入れが認められない場合があります。
- 支援計画の全部を、複数の登録支援機関に分けて委託することはできません。
- 全部委託を受けた登録支援機関が、その支援をさらに別の機関に再委託することは認められていません(通訳やタクシーの利用など、補助として頼むことは差し支えありません)。
令和9年4月1日からの変更
育成就労制度を創設した改正法(令和6年法律第60号)により、令和9年(2027年)4月1日から、支援の全部又は一部を委託できる相手が登録支援機関に限られます(改正後の入管法第19条の22第2項)。いま一部の支援を登録支援機関以外の会社や個人に頼んでいる場合は、施行日までに見直しが必要です。
同じ日から、支援体制の要件も改正されます。入管庁の公表資料によれば、支援業務に従事できる人を支援責任者と支援担当者に限ること、支援責任者に養成講習の受講を義務づけること(当分の間は未修了でも差し支えないとされています)、登録支援機関では担当者1人あたりの受託できる会社の数と支援できる外国人の数に上限を設けることなどが予定されています。自社支援の会社にも関わる改正です。
委託しても会社に残る義務
全部委託で「みなされる」のは、支援体制の基準だけです。次の義務は、委託の有無にかかわらず会社に残ります。
| 会社に残る義務 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 支援計画の作成 | 全部委託でも、支援計画は会社が作ります。登録支援機関が作成を補助することは差し支えありません | 入管法第2条の5第6項、運用要領 |
| 雇用契約の適正な履行 | 日本人と同等以上の報酬、外国人であることを理由とした差別的取扱いの禁止、報酬の口座振込み等 | 入管法第2条の5、基準省令第1条第1項・第2条第1項 |
| 法令の遵守 | 労働・社会保険・租税の法令の遵守、労災保険の手続 | 基準省令第2条第1項 |
| 費用の負担 | 義務的支援の費用を外国人本人に負担させない | 基準省令第2条第1項第8号 |
| 地域への協力 | 市区町村に「協力確認書」を提出し、共生施策への協力の要請に応じる | 基準省令第2条第1項第12号の2、運用要領 |
| 入管への届出 | 随時届出と年1回の定期届出 | 入管法第19条の18 |
| 調査・指導への対応 | 入管庁からの報告の求め、立入検査、改善命令の対象は会社 | 入管法第19条の20・第19条の21 |
入管への届出は会社の名前で出す
届出の義務者は、委託先ではなく会社です。随時届出は、事由が生じた日から14日以内に出します(入管法施行規則第19条の17第2項)。主なものは次のとおりです。
- 特定技能雇用契約の変更・終了・新たな締結
- 支援計画の変更
- 登録支援機関との支援委託契約の締結・変更・終了
- 受入れが困難になったとき(1か月以上働けない状態になったときなど)
- 省令の基準に適合しなくなったとき(税金や社会保険料の滞納が生じたときなど)
定期届出は、令和7年4月の改正で四半期ごとから年1回に変わりました。4月1日から翌年3月31日までの受入れ・活動・支援実施状況を、翌年4月1日から5月31日までに提出します。全部委託をしている場合は、会社が登録支援機関から支援の実施状況を取りまとめ、登録支援機関と連名で提出します。
雇用契約に関する届出や受入れ状況の届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象です(入管法第71条の4第1号)。法人も罰せられます(同法第76条の2)。また、ハローワークへの外国人雇用状況の届出も、別の法律に基づく会社の義務です。全体の流れは外国人を雇う会社の届出義務カレンダーで整理しています。
ポイント: 届出書の作成を会社の外に頼めるのは、行政書士又は弁護士です。入管庁のQ&A(令和7年6月)は、これら以外の者に委任すると行政書士法等に抵触するおそれがあるほか、適正な届出が履行されていないとみなされると注意しています。一般の登録支援機関が作れるのは、登録支援機関自身の届出です。支援を登録支援機関に任せ、届出は社内で、と分けている会社では、支援の記録と届出の内容がずれないよう、情報の受け渡しの方法を決めておくことが大切です。
建設会社が受け入れる場合に加わること
建設分野で特定技能1号の外国人を受け入れる会社には、さらに国土交通省の基準がかかります。運用要領(建設分野)によれば、主なものは次のとおりです。
- 建設業法第3条第1項の建設業許可を受けていること
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)に会社と外国人本人を登録すること
- 建設技能人材機構(JAC)又はその構成団体に所属すること
- 国土交通大臣の「建設特定技能受入計画」の認定を受けること(入管の許可・交付には認定証の写しが必要)
- 受入れの開始・終了などを国土交通大臣に報告すること
- 適正就労監理機関の巡回訪問などの確認に協力すること
- 1号特定技能外国人の数が、常勤の職員(技能実習生と1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと
受入計画の認定申請は、国土交通省の「外国人就労管理システム」からオンラインで行います。国土交通省の申請の手引きでは、代理で申請する場合は委任状と弁護士証票又は行政書士証票を添付することとされ、行政書士又は弁護士でない者が報酬を得て特定技能の申請書などを作成することは禁じられている、と注意しています。受入れの開始・終了などの報告も、同じシステムから行います。
これらは会社自身が満たす基準です。登録支援機関に支援を任せても、ここは任せて済むものではありません。一般の登録支援機関は、受入計画の申請や報告を代わりに行うことができないため、会社が自ら行うか、行政書士・弁護士に依頼することになります。建設分野の要件の全体は建設分野の特定技能|CCUS登録とJAC加入の特有要件、建設業許可の取り方は建設業許可取得のステップをご覧ください。
登録支援機関の選び方
登録支援機関は全国に多数あります。費用を比べる前に、次の点を確かめることをおすすめします。
- 登録の確認 入管庁のホームページで公開されている登録支援機関登録簿で、登録の有無を確かめます。登録簿には、支援を行う事務所と、相談に応じる体制の概要(対応可能言語)も載っています。
- 本人の母語での対応 相談や定期的な面談を、外国人が十分に理解できる言語で行えるか。通訳が誰なのか、急な相談に何時までどう応じるのかも聞いておきます。
- 面談の実施体制 3か月に1回以上の面談を、誰が、どこで行うのか。オンライン面談には本人と上司の同意と録画の保管が要ります。現場が多い建設会社では、面談に来てもらえる距離かどうかも大切です。
- 費用の内訳の明示 運用要領は、登録支援機関に対し、全部委託の契約の際に支援に要する費用の額と内訳を明示するよう求めています。また、委託費用は人数や事業所の数・場所で変わり得るため、複数の登録支援機関から見積りをとるなどして内容を確かめるよう案内しています。月額の安さだけでなく、何が含まれ、何が追加の費用になるかを確認します。
- 記録と届出の連携 定期届出は会社と登録支援機関の連名です。面談記録や支援の実施状況を、会社にどう共有してくれるのか確認します。
- 書類の作成まで頼めるか 特定技能の在留申請の書類、会社が出す届出書、建設分野の受入計画の申請を任せられるのは、行政書士又は弁護士です。一般の登録支援機関は、承認を受けた職員が申請を取り次ぐ(提出する)ことはできても、書類の作成を引き受けることはできません。
- 令和9年4月の改正への備え 担当者1人あたりの上限が設けられる予定です。担当者の人数と、受け持っている会社の数を聞いておくと安心です。
- 分野の知識 建設業であれば、受入計画やCCUSなど国土交通省の手続を理解しているかどうかで、相談のしやすさが変わります。
当事務所にご依頼いただく場合
金子英隆行政書士事務所は、登録支援機関です。そして代表は、申請取次の届出をした行政書士です。ここが、一般の登録支援機関との一番の違いです。
| ご依頼の内容 | 一般の登録支援機関 | 当事務所(行政書士である登録支援機関) |
|---|---|---|
| 義務的支援の実施(全部委託) | できる | できる |
| 特定技能の在留申請の取次ぎ(書類の提出) | 承認を受けた職員はできる | できる(申請取次の行政書士) |
| 特定技能の在留申請の書類の作成 | できない(行政書士・弁護士に限られる) | できる |
| 会社が出す定期届出・随時届出の書類の作成 | できない(作れるのは自身の届出) | できる |
| 建設特定技能受入計画の認定申請・受入れ後の報告の代理 | できない(代理は行政書士・弁護士に限られる) | できる |
支援の実施、在留申請、会社の届出、国土交通省の手続をワンストップでお引き受けしますので、同じ情報を何度もお伝えいただく手間がなく、支援の記録と届出の内容もずれません。
- 許可率98%の実績
- 受入計画の代理申請も 国土交通省の建設特定技能受入計画の認定申請と、受入れ後の報告を代理します。当事務所は、受入計画の代理申請を実際に多く手がけています。
- 建設会社の手続をまとめて 建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録を代行し、JACへの加入もお手伝いできます。建設業許可の取得・更新や会社設立も当事務所で扱います。
- 現場の人材探しも一緒に 特定技能の人材は、ハローワークへの求人やJACの求人などを会社と一緒に進めます。育成就労(現在は技能実習)の受入れは、代表が顧問を務める協同組合(監理団体)と連携します。
- 受入れの最前線を知る代表 代表は以前、協同組合(監理団体・登録支援機関)の理事長として、技能実習生・特定技能外国人の受入れと手続・支援の最前線に立ってきました。千葉公共職業安定所(ハローワーク千葉)では外国人雇用の相談員を務め、初めて外国人を採用する会社のご相談に何度も対応してきました。
- 建設会社のお悩みは、すべてワンストップで 労務・社会保険は提携の社会保険労務士、決算・申告は提携の税理士、法律の問題は提携の弁護士と連携して対応します。窓口は当事務所です。記帳代行は当事務所で承ります。
初回のご相談は60分無料です。オンラインでのご相談もでき、日本語・中国語で承ります。事務所はJR千葉駅南口から徒歩4分です。受入れ予定の方の国籍や言語をうかがったうえで、支援の体制を具体的にご説明します。
まとめ
- 特定技能1号の外国人を雇う会社は、支援計画を作って義務的支援(10項目)を行う義務があります。登録支援機関に全部委託すると、支援体制の基準に適合するものとみなされます。
- 一部委託や自社支援では、支援責任者・支援担当者の選任など、支援体制の基準を会社自身が満たす必要があります。
- 令和9年(2027年)4月1日から、支援の委託先は登録支援機関に限られ、支援体制の要件も改正されます。
- 全部委託でも、支援計画の作成、報酬など雇用契約の適正な履行、法令の遵守、市区町村への協力、入管への届出は会社に残ります。定期届出は年1回(4月1日〜5月31日)、全部委託なら登録支援機関と連名です。
- 建設分野では、建設業許可・CCUS・JAC・受入計画の認定など、国土交通省の基準も会社自身が満たします。
- 特定技能の在留申請の書類、会社の届出書の作成、受入計画の申請の代理は、行政書士・弁護士に限られます。一般の登録支援機関は引き受けられません。
- 登録支援機関は、登録簿での確認、本人の母語での対応、面談の体制、費用の内訳、記録と届出の連携、書類の作成まで頼めるかで選びます。
本記事は2026年10月時点の公表情報に基づいています。制度や様式は改正されることがありますので、最新の情報は出入国在留管理庁・国土交通省のホームページでご確認ください。