金子英隆行政書士事務所
建設業 金子英隆

技能実習生を受け入れている建設会社へ|育成就労・特定技能への切り替えでいまやること

令和9年(2027年)4月1日、技能実習制度に代わる育成就労制度が始まります。技能実習生を受け入れている建設会社にとって気になるのは、「いまいる実習生はどうなるのか」「修了した人に残ってもらうには何が要るのか」「次の受入れはどうするのか」の3点ではないでしょうか。本記事では、経過措置の内容、特定技能1号への移行に向けた準備、育成就労での受入れの準備を、公表資料に基づいて順に整理します。

当事務所の代表は、以前、協同組合(監理団体・登録支援機関)の理事長として、技能実習生や特定技能外国人の受入れと、その手続・支援の最前線に立ってきました(現在は同組合の顧問)。ハローワーク千葉で外国人雇用の相談員も務めました。技能実習の監理と特定技能の支援の両方を現場で見てきた立場から、切り替えの段取りをまとめます。

参照元: 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」「『特定技能1号』への移行を希望する場合(『特定活動』(特定技能1号準備))」/外国人技能実習機構「育成就労計画認定施行日前申請」、同機構リーフレット「技能実習計画についてのご案内」/「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(令和8年1月23日閣議決定)/令和8年国土交通省告示第784号/国土交通省「建設分野における外国人技能者の受入れ」「申請の手引き、様式、システム操作方法」「建設特定技能受入計画における報酬額の認定について(通知)」「建設分野における技能実習制度の背景・概要」/一般社団法人建設技能人材機構「年会費と受入負担金」/e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」第20条、「行政書士法」

建設会社のお悩みは、ワンストップで。 技能実習生を特定技能に切り替えるときは、入管への申請書類、国土交通省の受入計画、移行後の届出と、書類の相手先が分かれます。当事務所は行政書士事務所・登録支援機関として、これらをまとめてお引き受けします。労務・税務・法律のお悩みも当事務所でお受けし、提携の専門家と連携して対応します。

まず押さえておきたい日付

日付内容
令和8年(2026年)4月1日技能実習3号に進むには、遅くともこの日までに2号を始めている必要がある(外国人技能実習機構の案内)
令和8年4月15日監理支援機関の許可の施行日前申請の受付開始
令和8年9月1日育成就労計画の認定の施行日前申請の受付開始
令和9年(2027年)2月外国人技能実習機構が、1号技能実習計画の認定申請をこの月までに行うよう要請
令和9年3月31日1号技能実習計画の認定申請ができる最終日
令和9年4月1日育成就労制度の施行
令和9年6月30日技能実習1号での上陸ができる原則の期限。2号に進むには、この日までに1号を始めている必要がある

いまいる技能実習生はどうなるか

令和9年4月1日の時点で既に来日している技能実習生は、認定された計画に基づいて技能実習を続けられます。制度が変わるからといって、すぐに帰国させる必要はありません。

次の段階に進めるかどうかは、外国人技能実習機構が次のように案内しています。

  • 2号へ進む:令和9年6月30日までに1号の技能実習を始めている実習生
  • 3号へ進む:令和9年4月1日の時点で、2号の技能実習を1年以上行っている実習生

同機構は、令和7年4月2日以降に新たに入国した実習生は3号に移行できない可能性があると注意しています。

一方で、技能実習から育成就労へ移ることはできません。施行後に、技能実習生として改めて入国することもできません。そのため、修了した人に引き続き働いてもらうなら、特定技能1号への移行が中心になります。大学等を卒業していて施工管理などの仕事に就く場合は、技能実習から技人国ビザへの変更という道もあります。経過措置の全体像は【令和9年4月1日施行】育成就労制度とはをご覧ください。

修了した人は特定技能1号へ(試験免除の扱い)

技能実習2号を良好に修了し、これから従事する仕事と技能実習の職種・作業に関連性があれば、特定技能1号の技能試験と日本語試験が免除されます。出入国在留管理庁は、育成就労制度が始まった後も、当分の間はこの移行ができるとしています。

「良好に修了」とは、技能実習を2年10か月以上修了し、次のどちらかに当たることです。

  • 技能検定3級(又はこれに相当する技能実習評価試験)の実技試験に合格している
  • 実技試験に合格していなくても、実習先が作成する評価調書で良好に修了したと認められる

国土交通省の資料によれば、技能実習の移行対象職種のうち25職種が、建設分野の特定技能1号の試験免除の対象です。職種ごとに「土木」「建築」「ライフライン・設備」のどの業務区分に当たるかが決まっています。技能実習3号を修了した人も、2号を良好に修了した人と同じ扱いです。手続きの流れと必要書類は技能実習から特定技能への移行手続き|試験免除の条件で解説しています。

なお、育成就労を修了した人が特定技能1号に移るときは、技能と日本語の試験に合格することが要件になります。技能実習2号の良好修了による試験免除とは扱いが異なります。

建設分野で会社が準備すること

技能実習で満たしている要件もありますが、特定技能1号では新たに必要になるものがあります。

要件技能実習特定技能1号
建設業許可必要必要
CCUSへの登録(会社と本人)必要必要
JACへの加入求められていない必要
ハローワークでの求人—受入計画に直近1年以内の求人票を添付
報酬安定的に支払う同等の技能を持つ日本人と同等額以上を月給制で。技能の習熟に応じて昇給
受け入れられる人数常勤職員の数まで(優良な場合は例外あり)常勤職員(技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除く)の数まで
国の認定技能実習計画(外国人技能実習機構)建設特定技能受入計画(国土交通大臣)
生活の支援など監理団体による監理支援計画の実施(登録支援機関に委託できる)

CCUS(建設キャリアアップシステム)は技能者の資格や就業履歴を登録する仕組みで、建設分野の技能実習では令和2年以降の計画から順次、会社と実習生の登録が求められています。特定技能1号への移行では、本人のCCUS技能者IDが分かる書類を申請時に出します。

JACへの加入は、技能実習だけを受け入れてきた会社では済んでいないことがあります。JAC(一般社団法人建設技能人材機構)の賛助会員になるか、JACの正会員である建設業者団体の会員になります。賛助会員の年会費は24万円で、正会員団体の会員はJACへの年会費はなく所属団体の会費を納めます。どちらも、1号特定技能外国人1人につき月額12,500円(年額15万円)の受入負担金がかかります。加入申請中の段階では受入計画を申請できず、団体によっては会員証の発行まで数か月から半年かかる場合があるとされています。

報酬の設計も早めに確認してください。国土交通省の通知では、業務内容や経験年数が最も近い日本人の技能者と比べて不当に低い場合、所定内賃金を時間当たりに直した額が地域別最低賃金の1.1倍などを下回る場合、定期昇給などがないか1年あたりの昇給が月額1,000円未満の場合は、受入計画を認定しないとされています。

人数の上限にも注意が必要です。1号特定技能外国人の数は、常勤職員の数を超えられません。この常勤職員には、技能実習生や1号特定技能外国人は含まれません。たとえば常勤職員が5人の会社では、技能実習生が6人いても、全員を特定技能1号に切り替えることはできません。

移行した後は、国土交通省への受入報告(受入れ開始後1か月以内)と、受入れ後講習の受講(受入れ後、概ね3か月から6か月の間)が必要です。建設分野の要件の全体像は建設分野の特定技能|CCUS登録とJAC加入の特有要件をご覧ください。

在留期間の切れ目を作らない段取り

在留期間の満了日までに在留資格の変更を申請すれば、処分が出るまでの間、最長で満了日から2か月を経過する日まで日本に在留できます(入管法第20条第6項)。ただし、この間は従前の在留資格(技能実習)のままです。技能実習の計画期間が終わった後、許可が出るまでは特定技能1号として働くことはできず、本人の収入も、会社の人手も途切れてしまいます。

これを避けるには、修了の日から逆算して動きます。準備は、修了の半年前から始めるのが一般的です。

時期やること
修了の半年前準備を始める。本人の意向の確認、技能検定3級の実技の合否の確認、JACへの加入、ハローワークでの求人、雇用条件(月給・昇給)の設計、支援計画の準備
修了期日の6か月前から建設特定技能受入計画の認定申請ができる(JACへの加入などが済んでいることが前提)
申請から1か月半〜2か月程度受入計画の認定(補正期間を除く。地方によってはさらに数か月かかることがある)
就労開始を希望する日の2〜3か月前入管へ在留資格の変更を申請(受入計画と並行して申請できるが、受入計画が認定されないと入管の許可は出ない)
移行後1か月以内国土交通省へ受入報告

それでも在留期間の満了日までに書類を揃えられない合理的な理由がある場合は、「特定活動(6か月・就労可)」を申請する方法があります。移行先の会社で、特定技能1号として予定している仕事と同じ仕事をしながら準備できる在留資格です。付与される期間は6か月で、更新はやむを得ない事情がある場合に1回に限られます。この期間は特定技能1号の通算5年に含まれ、受入れ先を変えることも原則できません。出入国在留管理庁は、この申請が増えて審査が長くなっているとして、できる限り特定技能1号へ直接申請するよう求めています。

次の受入れは育成就労で

これから新しく外国人を受け入れるなら、令和9年4月以降は育成就労が中心になります。育成就労は、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育てる制度です。建設分野では、次のように定められています。

  • 本人の意向による転籍(転職)が制限される期間は2年です。1年を超える制限期間を置く会社は、1年目から2年目にかけて、国土交通省の協議会が毎年定める昇給率以上の昇給をします
  • 就労を始めるまでに日本語A1相当の試験に合格するか、相当する講習を受けます。修了までには技能検定3級等と日本語A2.2相当の試験の合格が求められます
  • 会社には、建設業許可、建設業法に基づく監督処分を5年以内に受けていないこと、日本人と同等額以上の報酬、CCUSへの登録、協議会への加入(JACに所属していれば加入とみなされる)が求められます
  • 受け入れられる人数は、常勤職員の数に応じて告示で上限が定められています
  • 入国後講習で、労働安全衛生に関する講習を受講させます

育成就労計画の認定は、施行日前の申請として令和8年9月1日から受け付けられています。外国人技能実習機構は、育成就労を始める予定日の7か月前から5か月前までに申請するよう案内しており、審査の結果は令和9年4月1日以降に順次通知されます。日本語講習の扱いは育成就労の日本語講習も参考になります。

監理支援機関の役割と、いまの監理団体に確認すること

監理支援機関を通じた「監理型」の育成就労では、監理支援機関が国際的なマッチング、受入れ会社への監理・指導、育成就労外国人の支援・保護を担います。本人から転籍の申出があったときの連絡調整も役割の一つです。

技能実習の監理団体は、そのままでは監理支援機関になれません。新たに監理支援機関の許可を受ける必要があり、許可の基準も、外部監査人の設置や債務超過でないことなど、技能実習より厳しくなっています。許可の施行日前申請は令和8年4月15日から受け付けられています。

監理型の育成就労計画を施行日前に申請するには、監理支援を行う法人が監理団体の許可を受けており、監理支援機関の許可の施行日前申請を済ませていることが必要です。申請時にはその受理票の写しを出し、監理支援機関が許可されなければ育成就労計画も認定されません。いまの監理団体に、次の2点を確かめておいてください。

  1. 監理支援機関の許可を申請したか(受理票の有無)
  2. 建設分野の育成就労の監理支援を行う予定か

当事務所にご依頼いただく場合

技能実習から特定技能・育成就労への切り替えでは、入管、国土交通省、外国人技能実習機構、JAC、ハローワークと、手続きの相手先が分かれます。建設会社には、そのほかにも許可の更新、社員の労務、決算など、さまざまなお悩みがあります。当事務所は、こうした建設会社のお悩みを、外国人の手続きに限らずすべてワンストップでお受けします。

切り替えの書類は、行政書士だから一括で作れます

特定技能の支援を担う登録支援機関は数多くあります。ただ、報酬を得て官公署に出す書類を作ることは、行政書士法で行政書士などに限られています(行政書士法第1条の3第1項・第19条第1項)。技能実習生を特定技能1号に切り替えるときに必要な手続きで比べると、次のとおりです。

切り替えで必要な手続き一般の登録支援機関当事務所
技能実習から特定技能1号への在留資格変更許可申請の書類作成作成の代行はできないできる
入管への申請の取次できるできる(申請取次の届出をした行政書士)
建設特定技能受入計画の認定申請と、移行後の受入報告(オンライン)の代理できないできる
移行後に会社が出す定期届出・随時届出の書類の作成自社が出す届出に限られる作成を代行できる
特定技能1号の支援計画の実施できるできる

国土交通省の受入計画のオンライン申請を代理できるのは、弁護士と行政書士に限られます。当事務所も、この代理申請を多く手がけています。このほか、技能実習生のCCUSの登録内容の確認や登録の代行、JACへの加入のお手伝い、建設業許可の更新などもお引き受けします。

人材について

  • 育成就労(現在は技能実習)の受入れは、代表が顧問を務める協同組合(監理団体)と連携します。いまの監理団体の状況の確認や、育成就労計画の準備もご相談ください。
  • 特定技能の人材は、ハローワークへの求人やJACの求人などを、会社と一緒に進めます。
  • 施工管理・設計などの技術者(技人国)は、代表が顧問を務める協同組合と連携してご紹介できます。

外国人の手続き以外のお悩みも、ワンストップで

  • 雇用保険・社会保険などの労務のお悩みは、提携の社会保険労務士と連携して対応します。
  • 決算・申告は提携の税理士と、法律の問題は提携の弁護士と連携して対応します。
  • 記帳代行は当事務所でお引き受けします。

ご相談の窓口は当事務所に一本化します。専門家ごとに同じ説明を繰り返さずに済むよう、当事務所が間に立って調整します。

代表の経歴と事務所のご案内

  • 以前、協同組合(監理団体・登録支援機関)の理事長として、技能実習生・特定技能外国人の受入れと手続・支援の最前線に立ってきました。現在はその協同組合の顧問です。
  • ハローワーク千葉で外国人雇用の相談員を務め、初めて外国人を採用する会社のご相談に何度も対応してきました。
  • 許可率98%の実績
  • 初回相談は60分無料です。オンラインでもご相談いただけます。
  • 事務所はJR千葉駅南口から徒歩4分です。日本語・中国語でご相談いただけます。

まとめ

  • 令和9年4月1日の時点で来日している技能実習生は、技能実習を続けられます。ただし技能実習から育成就労へは移れません。
  • 技能実習2号を良好に修了し、職種に関連性があれば、試験免除で特定技能1号に移れます。施行後も当分の間はこの扱いが続きます。
  • 建設分野の特定技能1号では、JACへの加入、ハローワークでの求人、月給制と昇給、建設特定技能受入計画の認定が新たに必要です。人数は常勤職員の数までです。
  • 受入計画は修了期日の6か月前から申請でき、認定に1か月半〜2か月程度かかります。入管への申請は就労開始の2〜3か月前が目安です。
  • 許可前に技能実習の計画期間が終わると、許可まで特定技能1号として働けません。準備は修了の半年前から始めます。
  • 新しい受入れは育成就労が中心になります。いまの監理団体が監理支援機関の許可を申請しているか確かめてください。
  • 当事務所は行政書士事務所・登録支援機関として、変更申請の書類作成、受入計画の代理申請、移行後の届出書類の作成までお引き受けします。外国人の手続き以外のお悩みも、提携の専門家と連携してワンストップでお受けします。

本記事は2026年10月時点の公表情報に基づいています。制度や運用は変わることがありますので、最新の情報は出入国在留管理庁・国土交通省・外国人技能実習機構・建設技能人材機構のホームページでご確認ください。

よくあるご質問

令和9年4月1日以降も、いまいる技能実習生は働き続けられますか。

はい。令和9年4月1日の時点で既に来日している技能実習生は、認定された計画に基づいて技能実習を続けられます。2号に進むには令和9年6月30日までに1号を始めていること、3号に進むには令和9年4月1日の時点で2号を1年以上行っていることが必要です。なお、技能実習から育成就労へ移ることはできません。

技能実習2号を修了した人は、試験なしで特定技能1号に移れますか。

技能実習2号を良好に修了し、従事する仕事と技能実習の職種・作業に関連性があれば、技能と日本語の試験は免除されます。出入国在留管理庁は、育成就労制度が始まった後も当分の間はこの移行ができるとしています。良好な修了とは、2年10か月以上修了し、技能検定3級等の実技試験に合格しているか、実習先の評価調書で良好と認められることをいいます。

建設分野で技能実習生を特定技能1号に切り替えるとき、会社は何を準備しますか。

技能実習で満たしている建設業許可とCCUSへの登録に加えて、建設技能人材機構(JAC)への加入、ハローワークでの求人、月給制で同等の技能を持つ日本人と同等額以上の報酬と昇給の設計、国土交通大臣による建設特定技能受入計画の認定、支援計画の準備が必要です。支援計画の実施は登録支援機関に委託できます。

いつから手続きを始めればよいですか。

国土交通省は、技能実習から続けて特定技能へ移る人について、技能実習計画の修了期日の6か月前から受入計画の認定申請ができるとしています。認定までは1か月半から2か月程度(補正期間を除く)を見込み、入管への申請は就労開始を希望する日の2〜3か月前が目安です。JACやその正会員団体への加入は、受入計画の申請前に済ませておく必要があり、団体によっては数か月から半年かかる場合があります。

特定技能1号の許可が技能実習の修了に間に合わないと、どうなりますか。

在留期間の満了日までに在留資格の変更を申請していれば、処分が出るまで(最長で満了日から2か月)は日本に在留できますが、それは従前の在留資格(技能実習)のままです。特定技能1号としては働けません。在留期間の満了日までに書類を揃えられない合理的な理由がある場合は、移行先で働きながら準備できる特定活動(6か月・就労可)を申請する方法もあります。

いまの監理団体は、育成就労でもそのまま監理をしてくれますか。

そのままではできません。監理団体が育成就労の監理支援を行うには、新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります。許可の施行日前申請は令和8年4月15日から受け付けられています。監理支援機関を通じた育成就労計画の申請には、その機関が許可の申請を済ませていることが条件になりますので、いまの監理団体に申請の状況を確かめてください。

#技能実習 #育成就労 #特定技能 #建設業 #2027年施行

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