建設業界では、職人だけでなく、施工管理・設計・積算・CADを担う技術者も不足しています。こうした技術の仕事で外国人を採用するときに使う在留資格が、「技術・人文知識・国際業務」(以下「技人国」)です。ただ建設会社では、「現場にも出てほしい」という事情から、申請の内容が在留資格の範囲を外れてしまうことがあります。
本記事では、出入国在留管理庁(以下「入管庁」)のガイドラインと公表されている許可・不許可事例に基づき、技人国で採用できる仕事、本人と会社の要件、手続の違い、建設会社がつまずきやすい点を整理します。
参照元: 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(最終改定令和8年4月)及び別紙1(実務研修)・別紙3(許可・不許可事例)・別紙4(言語能力を用いる対人業務)/同「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」/同「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」(令和8年7月)/e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」別表第一の二・第19条の16/「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」
建設会社のお悩みは、ワンストップで。 施工管理・設計などの技術者の在留資格は、行政書士が申請書類を作成し、入管へ取り次ぎます。技術者は、代表が顧問を務める協同組合と連携してご紹介もできます。建設業許可から労務・税務・法律のご相談まで、提携の専門家と連携して当事務所の窓口でお受けします。
技人国で採用できるのは「技術の仕事」
技人国は、理学・工学などの自然科学や、法律学・経済学などの人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、又は外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事するための在留資格です(入管法別表第一の二)。在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかで、更新ができます。
入管庁のガイドラインは、対象となるのは「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動」だとしています。そのうえで、求人で「未経験可、すぐに慣れます。」と書くような業務や、学歴・実務経験の要件を満たさない日本人社員が一般的に担っている業務は対象にならない、と明記しています。
建設会社の仕事に当てはめると、次のように整理できます。
| 区分 | 業務の例 | 根拠となる公表事例など |
|---|---|---|
| 対象になりうる | 施工図の作成、現場の職人への指示・監督 | 専門学校で電気工学を学んだ人が、電気工事の設計・施工の会社で工事施工図の作成、現場職人の指揮・監督等に従事(許可事例) |
| 対象になりうる | 建築積算 | 建築室内設計科を卒業した人が、建築設計・設計監理・建築積算の会社で建築積算業務に従事(許可事例) |
| 対象になりうる | 構造設計・解析、研究開発 | 社会基盤工学を修めた人が、土木・建設コンサルタント会社で研究開発・解析・構造設計に従事(許可事例) |
| 対象になりうる | 建設技術の研究・調査 | 建築工学を専攻した人が、建設会社で建設技術の基礎・応用研究、国内外の建設事情調査等に従事(許可事例) |
| 対象になりうる | CADを使った解析・開発 | 工学等を専攻した人が、航空機整備会社でCAD及びCAEのシステム解析・開発業務に従事(許可事例) |
| 対象にならない | 型枠・鉄筋・内装などの作業そのもの、資材の運搬、清掃 | 反復訓練によって従事できる業務は該当しないとするガイドライン。工場で技能実習生とほとんど同じ作業をする申請が不許可となった事例 |
在留資格に当たるかどうかは、在留期間中の活動を全体としてみて判断されます。施工管理として申請しても、実際には大半の時間を職人と同じ作業に充てるのであれば、技人国には当たりません。
CADオペレーターはどう判断されるか
入管庁の許可・不許可事例集には、「CADオペレーター」という職名そのものの事例は見当たりません。CADに関わる許可事例は、CAD・CAEのシステム解析や開発、CAD実習・材料力学などを履修した専門学校卒業者が部品図面の確認や加工設備のプログラム作成を行うものなど、設計や製図の知識を使う業務です。
判断の分かれ目は、職名ではなく業務の中身です。構造や施工の知識に基づいて図面を作成・修正する、設計者と調整しながら施工図に落とし込む、といった業務であれば、建築・土木・機械などの専攻との関連を説明しやすくなります。反対に、手書きの図面をそのまま入力する作業が中心で、社内の日本人も未経験可で採用しているような場合は、技人国の業務とは認められないおそれがあります。
公表事例には、入管が同じ業務をする日本人社員の学歴・職歴・給与の説明を求めたところ、その日本人は理工学部の卒業者で、求人も大卒相当の学歴を条件とし、給与も申請人と同額だと分かって許可された例があります。同じ仕事の日本人社員をどのような基準で採用しているかは、説明を用意しておきたい点です。
入社後の現場研修はどこまで認められるか
「最初は現場で作業を覚えてほしい」という希望は、建設会社でよく聞きます。ガイドライン別紙1は、採用当初の実務研修で技人国に当たらない作業をする場合でも、日本人の大卒社員などにも同様に行う研修の一環であり、在留期間全体の大半を占めるものでなければ、相当性を判断したうえで認めるとしています。注意点は次のとおりです。
- 外国人社員だけに設定された研修や、日本人社員と差がある研修は、日本語研修など合理的な理由がなければ認められません。
- 採用から1年を超えて実務研修を行う場合は、研修計画の提出を求められ、期間の合理性が審査されます。
- 研修がある場合、在留期間は原則として「1年」となります。更新の際に予定を超えて研修を続けていると、合理的な理由がない限り更新は認められません。
- 雇用契約が3年だけで更新の予定もないのに、採用から2年間を研修とする、といった申請は認められないと明記されています。
本人の要件:学歴・専攻と実務経験
施工管理・設計・積算・CADといった技術の仕事では、本人が次のいずれかに当たることが必要です(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令。以下「上陸基準省令」)。
| ルート | 内容 | 専攻と業務の関連の見方 |
|---|---|---|
| 大学・高等専門学校 | 業務に関連する科目を専攻して卒業(海外の大学も準じて判断) | ガイドラインは「従来より柔軟に判断」としている |
| 日本の専門学校 | 業務に関連する科目を専攻して専門課程を修了し、専門士などの称号を得ている | 原則として「相当程度の関連性」が必要。文部科学大臣の認定を受けた学科(外国人留学生キャリア形成促進プログラム)の修了者は柔軟に判断 |
| 実務経験 | 10年以上(大学・専門学校等で関連科目を専攻した期間を含む) | 技人国の業務そのものでなくても、関連する業務の期間を含む |
専門学校の卒業者でも、履修内容全体から業務に必要な知識を身につけたと認められる場合は総合的に判断され、関連性が認められた業務に3年程度従事した人は、その後の業務との関連性が柔軟に判断されます。海外の専門学校の卒業は、専門学校のルートには当たりません。
建設会社であれば、建築・土木・電気・機械・設備などの専攻が施工管理や設計と結びつけやすい分野です。専攻名だけでなく、成績証明書の履修科目で関連を示すのが実務です。専攻と業務の関係の考え方は専攻と職務のミスマッチ?技人国の関連性要件を攻略、実務経験で申請する場合は技人国ビザを実務経験10年で取得する方法もご覧ください。
なお、海外の協力会社との通訳・翻訳や海外取引の業務は「国際業務」に当たり、原則として関連業務の3年以上の実務経験が必要です(大学を卒業した人が翻訳・通訳・語学の指導に従事する場合は不要)。主に言語能力を使って人と接する業務の場合はCEFR・B2相当の言語能力が前提とされ、会社がカテゴリー3・4に当たるときは申請時にその証明資料を出します。
会社側の要件:契約・報酬・事業の実態
報酬は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることが必要です。通勤手当・扶養手当・住宅手当など実費弁償の性格のもの(課税対象となるものを除く)は報酬に含まれません。詳しくは技人国の報酬要件をご覧ください。
契約と事業の実態も確認されます。ガイドラインは、契約に基づく活動が日本で適法に行われ、継続して行われることが見込まれることを求めています。建設会社であれば、建設業許可が必要な工事を請け負うのに許可を受けていない、といった状態がないかも確かめておきたい点です。また、特定技能や技能実習で、外国人への暴行、旅券の取上げ、報酬の不払いなどを理由に受入れ停止の対象となっている会社は、その期間中、原則として技人国の外国人も新たに受け入れられません。
会社のカテゴリーによって提出書類が変わります。前年分の法定調書合計表を提出している会社はカテゴリー3(給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上ならカテゴリー2)、提出の実績がない設立直後の会社などはカテゴリー4です。令和8年(2026年)4月15日以降の申請では、カテゴリー3・4の会社は「所属機関の代表者に関する申告書」も提出します。詳しくは技人国を雇う企業側の要件と注意点と2026年4月改正の新要件をご覧ください。
採用後は、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が会社の義務です。届出の全体は外国人を雇う会社の届出義務カレンダーで整理しています。
海外から呼ぶ場合と国内で採用する場合
採用する人がいまどこで、どの在留資格を持っているかで、手続が変わります。
| 採用する人 | 手続 | 注意点 |
|---|---|---|
| 海外に住んでいる人 | 在留資格認定証明書交付申請(会社の職員が代理で申請でき、申請取次の行政書士に依頼することもできます)→ 本人が在外公館で査証を申請 → 入国 | 卒業証明書・在職証明書などを海外から取り寄せる時間を見込む |
| 日本の大学・専門学校を卒業する留学生 | 在留資格変更許可申請 | 資格外活動の上限(原則週28時間)を超えて働いていた場合などは不利になる |
| 技人国で他社に勤めている人(転職) | 業務が技人国の範囲内なら変更申請は不要。本人が14日以内に「契約機関に関する届出」を行う(入管法第19条の16) | 就労資格証明書の交付申請で、新しい業務が該当するかを確認できる。在留期間の満了が近ければ更新申請 |
| 技能実習・特定技能など他の在留資格の人 | 在留資格変更許可申請 | 学歴・専攻と業務の関連があらためて審査される |
海外から呼ぶ場合の流れは海外から外国人材を招聘する方法、転職者を受け入れる場合は技人国ビザで転職する場合の手続き、技能実習を終えた人を技術職で採用する場合は技能実習から技人国ビザへの変更をご覧ください。
建設会社がつまずきやすい点(公表事例から)
入管庁の許可・不許可事例のうち、建設会社の採用に置き換えて注意したいものを挙げます。
- 現場作業が中心になっている 技能実習生とほとんど同じ作業をする申請は、高度な知識を要する業務とは認められず不許可とされています。施工管理として採用するなら、1日の仕事のうち管理・設計の業務が中心であることを、職務内容の説明で示します。
- 研修が長い、又は外国人だけに課されている 研修を理由に配膳・清掃を予定した申請が、過去の外国人社員が予定を大幅に超えて同じ作業を続けていたことから不許可とされた例があります。研修の期間と、研修後に就く業務をはっきりさせます。
- 日本人より報酬が低い 同時に採用された同種業務の日本人新卒が月額18万円で、申請人が月額13万5千円だった申請は不許可とされています。
- 通訳の仕事量が足りない 外国人スタッフへの通訳として申請したものの、通訳の必要性や業務量が認められず不許可となった例が複数あります。将来受け入れる予定の外国人のための通訳・技術指導として申請し、計画が具体化しておらず、それまでは清掃に従事するとした申請も不許可でした。外国人技能者のまとめ役として採用するなら、いま必要な業務量を具体的に示します。
- 専門学校の専攻と業務がずれている 専門学校の卒業者は、専攻と業務の関連性が比較的厳しく見られます。成績証明書の科目と、担当させる業務を対応させて説明します。
- 留学中のアルバイトが多すぎた 留学中に1年以上、継続して月200時間以上アルバイトをしていたことが分かり、在留状況が良好と認められず不許可とされた例があります。留学生を採用するときは、在学中の働き方も確認します。
特定技能との使い分け
同じ建設会社の外国人採用でも、主に担当する仕事で在留資格が分かれます。
| 項目 | 技人国 | 特定技能1号(建設分野) |
|---|---|---|
| 主な仕事 | 施工管理・設計・積算・CADなど技術の仕事 | 現場で技能を要する作業 |
| 本人の要件 | 学歴(専攻の関連)又は実務経験 | 技能試験と日本語試験の合格など |
| 会社側の主な要件 | 日本人と同等額以上の報酬など | 建設業許可、建設キャリアアップシステムへの登録、建設技能人材機構(JAC)等への所属、国土交通大臣の受入計画の認定など |
| 支援計画 | 不要 | 必要(登録支援機関に委託可) |
| 家族の帯同 | 可能(家族滞在) | 原則として不可 |
比較の全体は特定技能と技人国の違い、建設分野の特定技能の要件は建設分野の特定技能、支援を外部に任せる場合は登録支援機関に支援を委託するときをご覧ください。
当事務所にご依頼いただく場合
技術者の採用は、在留資格の書類だけでは終わりません。人を探すところから、許可の後の届出、会社の許認可や労務まで続きます。金子英隆行政書士事務所は、建設会社のこうしたお悩みを、すべて当事務所がワンストップでお受けします。
行政書士だからできること
在留資格の申請書類を、報酬を得て作成できるのは行政書士と弁護士です(行政書士法第1条の3・第19条第1項)。入管庁も、弁護士・行政書士以外の者が官公署に出す申請書などの作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがあると注意しています。
当事務所の代表は、申請取次の届出をした行政書士です。業務内容の整理から申請書類の作成、入管への取次ぎ、在留カードの受取りまでお引き受けしますので、会社の担当者やご本人が入管の窓口に出向く必要は原則としてありません。
- 許可率98%の実績
- 申請の前に、業務内容を整理します 施工管理・設計・CADの業務を、技人国に当たる形で説明できるか。研修の期間や中身、同じ仕事の日本人社員の採用基準も含めて一緒に整理し、説明書を作ります。
- 技術者のご紹介も 施工管理・設計などの技術者は、代表が顧問を務める協同組合と連携してご紹介できます。
- 受入れの現場を知る代表が担当 代表は以前、協同組合(監理団体・登録支援機関)の理事長として、技能実習生・特定技能外国人の受入れと手続・支援の最前線に立ってきました。千葉公共職業安定所(ハローワーク千葉)では外国人雇用の相談員を務め、初めて外国人を採用する会社のご相談に何度も対応してきました。
現場の人材や会社の手続も、ワンストップで
| ご相談の内容 | 当事務所の対応 |
|---|---|
| 技術者(技人国)の採用・申請 | 行政書士が申請書類を作成し、入管へ取り次ぎます。技術者は協同組合と連携してご紹介もできます |
| 現場の技能者(特定技能) | 当事務所は登録支援機関として支援を行います。国土交通省の建設特定技能受入計画の認定申請と受入れ後の報告を代理し、会社が入管に出す届出の書類も作成します。建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録を代行し、JACへの加入もお手伝いできます。人材は、ハローワークへの求人やJACの求人などを会社と一緒に進めます |
| 現場の技能者(育成就労・現在は技能実習) | 代表が顧問を務める協同組合(監理団体)と連携します |
| 建設業許可・会社設立 | 当事務所で扱います |
| 労務・社会保険、決算・申告、法律の問題 | 提携の社会保険労務士・税理士・弁護士と連携して対応します。窓口は当事務所です。記帳代行は当事務所で承ります |
初回のご相談は60分無料です。オンラインでのご相談もでき、日本語・中国語で承ります。事務所はJR千葉駅南口から徒歩4分です。
まとめ
- 施工管理・設計・積算・CADなど技術の仕事で外国人を採用する場合、在留資格は技人国が中心です。現場の作業そのものは対象になりません。
- 公表事例には、専門学校で電気工学を学んだ人の施工図作成・職人の指揮監督、建築積算、構造設計などの許可例があります。CADオペレーターは職名ではなく、設計・製図の知識を使う業務かどうかで判断されます。
- 本人は、業務に関連する専攻での大学・専門学校の卒業、又は10年以上の実務経験が必要です。専門学校は原則として相当程度の関連性が求められます。
- 報酬は日本人と同等額以上。入社後の現場研修は、日本人と同様の研修で在留期間の大半を占めないものに限られます。
- 海外から呼ぶなら在留資格認定証明書、留学生なら変更申請、技人国の転職者なら本人の届出(就労資格証明書で確認も可能)と、手続が分かれます。
- 現場作業が中心の採用は、特定技能(建設分野)を検討します。
本記事は2026年10月時点の公表情報に基づいています。審査の運用や提出書類は変更されることがありますので、最新の情報は出入国在留管理庁のホームページでご確認ください。